「今夜もeat it」のmoonisupさん登場! 2009年 09月 03日

また、その場の空気感や時間の流れ、旅情が感じられる旅の写真や、お子さんをあたたかく見守る父親としての視線…。
どれをとっても、見る人に心地よい印象を残してくれる写真に、多くのブロガーが憧れています。
さらに、プロのカメラマンとして、写真の撮り方を親切ていねいに教えてくれたり、ブロガーを対象にした撮影会やワークショップを企画したり…。ブロガーとの交流や出会いをとても大事にする、気さくであたたかく、親近感のもてるお人柄も人気です。
今週は、そんなエキサイトブログの人気ブロガーとして知られ、多くのブロガーから「写真の師匠」として親しまれている、「今夜もeat it」のmoonisup さんに登場していただきました。
エキサイトブログ編集部:いつもご利用いただき、ありがとうございます。ブログをはじめたきっかけは?
moonisupさん:2003年頃に海外のブログサービスfotologから始めました。
ネット以前は、世の中で目にする写真のほとんどはプロが撮ったものでした…、いわゆる広告、雑誌、新聞、書籍などの写真ですね。
アマチュアカメラマンの写真を見る機会は、知人友人以外のは少なく、写真雑誌のコンテストでも、あるフィルターをもって選別されたもの。でも、ブログにはそのようなフィルターがないので、僕の目にとても新鮮にうつったんです。
たとえば、コンテストなどでは落選とされるような何気ない日常の写真、南米に住んでいる人の台所、インドのカフェ、カナダの家庭のリビング…。そんな写真であふれているブログに夢中になりました。
さっそく僕も日本のカフェ、定食屋、自分の食卓の写真を次々にアップしました。
海外からもコメントをいただくようになり、すっかり楽しくなったころ、うどんに生卵をおとした写真を載せたら…。「自殺する気か!」「やめろ!」などのコメントが殺到。生卵を食べない国が多いというのを、それまで知らなかったのです(笑)。
1年ぐらい英語でのブログを続けましたが、英語が得意ではなかったので面倒になって…。日本語のブログ、エキサイトに引っ越したのが2004年の春でした。以来、お世話になっています。
エキサイトブログ編集部:ご自身のブログを紹介してください。
moonisupさん:仕事はフリーランスのカメラマンをしています。
でも、仕事で撮影した写真は、守秘義務などもあって、ブログには原則掲載できません。なので、プライベートで撮った食べ物写真を中心とした日記です。たまに街のスナップ、旅行記、育児ネタもあります。
写真の質問が多くなったりしたので、ワークショップのブログに写真のテクニック関係の記事を移行しています。更新頻度は低いのですが。

moonisupさん:人との出会いですね。オフ会、撮影会、ワークショップなどで、たくさんの方にお会いしてきました。僕にとって、かけがえのない財産になっていると思います。
新しい発見というか、ブログを始めたことで、旅行写真や町のスナップ写真を撮るようになりましたね。それ以前は、ほとんど撮らなくて…、実は苦手でした(笑)。旅行にカメラを持って行っても、数枚しか撮らなかったり。ところが今では、町で面白いもの、変わったものを見つけると、「お、ブログネタになるな」って、つい思っちゃうんですよ。そんなふうにして撮影を重ねてブログにアップして、人から意見をいただくというのは、とても楽しいことです。
写真を撮って人に見せるというのは、それなりの緊張がともなうものですから、それをずっと続けるというのは、とてもいい練習なんですね。写真が上手になる近道だと思います、フォトブログを続けるのは。
たまに、「上手になってからブログ始めます」という方がいらっしゃいますが、始める気持ちがあるのなら、今すぐがいいですよ。ブログは作るものではなくて、育てるものだと思っています。
エキサイトブログ編集部:自分をひとことでいうなら、どんな人?
moonisupさん:江戸っ子(短気、怒りっぽい、あわてんぼう、人の話聞かない、安請け合いしがち、滑舌悪いのに早口、お祭り好き、ふざけてばかり、涙もろい、うるさい、さみしがりや)です。
エキサイトブログ編集部:会ってみたいブロガーさん、または会ってみたブロガーさんの中で印象深いのは?
moonisupさん:たくさんの方にお会いしてきたので、みなさんの話をしたいのですが。
一番印象深いのは、「ろんどんらいふ」のマペットさんです。イギリス在住の方で、ブログで知り合って、東京でお会いして。その後、2006年夏、僕がイギリスに行った時に6日間もお世話になりました。
ご主人(イギリス人・エルビス)とお嬢様二人、みなさん本当によくして下さって、あの旅のことは一生忘れません。そして、滞在中にスコーンの焼き方を教わりました。そのときから、薄力粉で何かを作るということがすっかり楽しくなり、さらにいろいろなスイーツを作るようになりました。
買ってきたスイーツ中心だった僕のブログが、自作スイーツ中心のブログに変わるきっかけになった、大きなターニングポイントですね。
マペットさんには感謝してもしきれないぐらいです。

そして、福岡のブロガー、「my favourite things!」のcoo-coosさん、「にこにこ堂本舗③」のmangobanapako2さん。
お二人ともやはりブログを通じて知り合って、以後福岡に遊びにいくたびに泊めていただき、たくさんお世話になっています。
今年の7月には、福岡からさらに天草へ足をのばしました。陶芸家・余宮隆さんの工房におじゃまして、やはり泊めていただきました。
他にもたくさんたくさん面白い方、面白い話はあるのですが、きりがないのでまたそのうち。
エキサイトブログ編集部:一番好きなこと(モノ)、ハマっていることは?
moonisupさん:好きなことは、写真、音楽、料理です。
写真と音楽は大好きを通り越して空気のようなものです。
趣味というと料理ですね。休みの日に料理本見ながらていねいに作っている時間は、とても楽しくて、思い通りの味になった時は格別です。
料理と写真って、とても似ていると思います。化学反応みたいなもので、1+1は2にしかならないのですが、でも、たまに偶然の産物で、1+1が5になるような時もあって。だからやめられないですね。
エキサイトブログ編集部:夢は?
moonisupさん:広いキッチンのあるスタジオを持つことです。できれば海の近くで。現在の事務所は、東京のど真ん中でとても便利な場所なのですが、料理撮影ができる環境ではないので、事務所を移転したいと思っています。
ただ、引っ越しが大好きで、その前の事務所も1年半で解約したので、「落ち着かないと信用なくすよ」と諸先輩方に注意されていまして(笑)。当分、移転は自粛です。

moonisupさん:写真に夢中になったきっかけは、中学1年の時に写真部に入ったことですね。
初めて暗室の中に入った時に、現像液の中で印画紙に画像がゆっくりと浮かび上がってきた時の感動は、
今でも覚えていて生涯忘れることはないと思います。すべてはあそこから始まりました。
写真を撮る楽しみ…、うーん、むずかしいですね、何だろう。
思うようにはなかなか撮れなくて、でもたまにあるんですよ、ガッツボーズがでるような満足できる写真が。
でも、その満足は長続きしなくて、また次を撮りたくなってしまう…。そんな繰り返しが楽しいんでしょうね。完璧に満足したらやめちゃうんでしょうね(笑)。
自分らしい写真の撮り方はいろいろなパターンがあるといいと思っています。
ひと目見ただけで、誰それの写真だ、とわかる強い個性にも憧れるのですが、変幻自在にいろいろな撮り方ができるようになりたいですね。
それから、見る人への思いやりです。僕の写真を見て不愉快になる人がゼロであるのが理想です。それはとてもむずかしいことなんですけどね。
世の中にはつらいことがたくさんあって、それらは避けて通れないことなのですが、でもあえて目をつぶってきれいな世界だけを撮りたいと思っています。虚像と非難されたこともありますけど、僕はそういう写真家でありたいと思っています。
記事アップの際に心がけているのは、私信であるということです。僕のブログの記事はほとんどすべてが私信です。その相手が一人の時もあるし、100人の時もありますけど。
常に誰かの顔を思い浮かべながら写真を撮ったりテキストを書いています。
ワールドワイドに不特定多数に向けて、とは考えないことにしています。
エキサイトブログ編集部:ブロガーさんを対象にした写真撮影会や写真講座などもされていますが、そのきっかけやみなさんの反響は?
moonisupさん:写真講座を始めたのは、イギリスとイタリア在住の二人のブロガーさんのためでした。日本語の写真入門の本もなく、しかも現地でデジタル一眼レフを購入されたので、日本語の取り扱い説明書もなかった、そんな二人のための私信でした。
あっという間にその二人が写真上手になったので、写真講座は更新しなくなっていますけど(笑)。
でも、その記事を他の多くの方が読んで下さって、たくさんの質問メールをいただいたりしているうちに、撮影会や写真講座が自然発生的に始まりました。取説も読めなくて、「カメラを買ったけど思うように撮れなくて、カメラに触ることすらいやになった…」、そんな自称初心者のために、と思っています。
写真は0の才能、100の努力です。撮った枚数だけ必ず上手になります。そして、人に見せてたくさんの意見を聞けるといいですね。そう考えるとブログはとても適したツールだと思います。
コメント欄などで意見をもらえることがありますから。

エキサイトブログ編集部:生活の中で大切にしている時間や癒される瞬間などは?
moonisupさん:大切にしている時間は、子どもと一緒の時間です。
彼もどんどん成長して来年は中学生になるので、一緒に過ごす時間も残りわずかでしょう。
癒される時間は、台所にいる時です。料理している時は無心になって悩みとかを忘れることができます。問題の解決にはならないんですけどね。現実逃避癖があるので、忙しい時ほど台所に行きます(笑)。
エキサイトブログ編集部:数ある作品の中でご自身が気に入っている写真&記事、また、読者に評判だった記事は?
moonisupさん:・「フランク・ザッパ」
これは思いつきで作って撮ったのですが、とても気に入っています。万人受けするネタではないのですが、数人の友人(ロック好き)から誉められてうれしかったので。
・「電動ドライバーで作るバナナケーキ」
今見ても本当に馬鹿なことしたな、と(笑)。とびちったケーキの生地を子供と二人で笑い転げながら掃除しました。このあとすぐに、ちゃんとした電動ミキサー買いました。
・「こびとカメラマン」
これは一昨年ですね。5月の連休前で本当に切羽詰まっていた時に、これも勢いで作った記事です。
これを読んだ担当編集者から、電話がかかってきました(笑)。

これは最近の記事です。天草在住の陶芸家・余宮隆さんと春に東京で知り合って、7月に遊びに行った記事です。築140年の古民家を工房に改造されていて、そこに泊めていただきました。
1000枚以上の写真を撮って、整理するのに時間がかかり、たくさんの写真をデジブックにまとめた思い出深い記事です。
・「好きなもの 写真を撮ること」
これは僕の自己紹介記事でもあります。
エキサイトブログ編集部:長い休日があったら何をしたい?
moonisupさん:海外に撮影旅行に出かけたいですね。貧乏暇無し、やっぱり金なしなんですけど(笑)。いろいろな国に滞在されているブロガーさんから、「あそびにおいでー」とお誘いいただいているので、行きたいですね。
でも、日本も大好きなので、行ってみたい場所は国内にもまだたくさんあります。
エキサイトブログ編集部:最近の気になるニュースは?
moonisupさん:この一年で自分にたくさんの影響を与えて下さった著名人が、
次々に鬼籍に入っていて残念でなりません。
今現在は、8月に年内休養宣言された立川談志師匠の回復をお祈りしています。大好きな噺家なので。
エキサイトブログ編集部:ブログに訪問してくださる方にひとこと!
moonisupさん:見て下さって本当にありがとうございます。
いつまで続くかわかりませんが、またふらっと立ち寄ってください。
エキサイトブログ編集部:ありがとうございました。
【moonisupさんが好きなブログ、気になるブログ】
たくさんたくさんあるのです。RSSだけでも200以上登録しています。
とても全部は紹介しきれないので、選べなかったブロガーさん、本当にごめんなさい。
●「ご利用はご計画的に。」
すでに更新はされていませんが、世界一好きなブログです。
ここの過去ログを見ているだけでも楽しめます。こういうノリが、本当に大好きです。
レシピを参考にしているブログはこの3つ。
どれも、簡単で、おいしい、です。
●「薬膳のチカラ」
●「食卓の風・・・」
●「Photo clip-miel-」
エキサイト以外でぜひ紹介したいブログを二つ。
●「ある日ある時」
●「Jacquie Quartertruth Photography」
どちらも知人のプロカメラマンのブログです。
プロフォトグラファーのブログはたくさんあるのですが、あえてこの二つを。
理由は、「ほとんど毎日更新している」「一貫したテーマがある」「作品としての高いクオリティ」の3つです。
この中のどれか一つなら他にもあるのですが、この3つをつねに保っているブログはそうそうないと思います。
プロのカメラマンがフォトブログを続けるのは、意外と大変なことなのです。
仕事の写真は守秘義務や権利の問題でアップできないですから、時間を作って自分の作品をブログ用に撮り続けるのですが、仕事撮影で疲れている時に、もう一踏ん張り、というのがなかなか難しいのです。
そういうわけで、この二つのブログを敬愛しています。
【moonisupさんのライフログ】
本とCDは大量にあって選びきれないですねー(笑)。
映画をひとつ。
僕がアシスタント時代、たった半年だけついた大師匠(故人)にすすめられた映画です。
「これを繰り返しみればモノクロ写真の撮り方がわかるようになるよ」と言われました。
先人達の残した偉大なモノクロ写真を見ることも勉強になるのですが、モノクロ映画は、動きなどがわかるので、どう切り取って、どう瞬間を止めればいいのか、とても参考になる作品です。まあ、そんなこと考えないで見ても、大変面白い映画です。
1950年のアカデミー撮影賞(白黒部門)を受賞しています。
漫画をひとつ。
手塚治虫が描いたベートーヴェンの生涯(未完・絶筆)。
バッハ、モーツアルト、ベートーヴェン、この3人のピアノ曲の違いを、実際の演奏や言葉ではなく、絵で描いています、表現としての魔法。
CDをひとつ。
ジャズピアノです。
キースの作品はほとんどすべて持っていて、この20年、来日したら必ずコンサートに行っています。
この作品は即興演奏なんですが、人はここまでの高みに昇れるのか、という作品です。
とことん疲れた時、落ち込んだ時に、何百回聴いたことか。
語りたい映画、小説、漫画、音楽がまだまだたくさんあります。
またそのうち(笑)。
moonisup さんの「今夜もeat it」を読んでみましょう。