神戸スナップ 「ブ」

鈴蘭台の駅前を歩いていたら、シンプルなネーミングの店があった。

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「たこ焼 たい焼 ブ」。

ただ、「ブ」のみ

ブ……だけ。
「マジカル頭脳パワー!!」の「超瞬間一文字シャウト」かこれは。

情報量がなさすぎてどの角度からもいじりようがなく、荒野にひとり取り残された気分だ。

謂われを訊こうにも定休日。
インターネットを漁っても謎すぎる店名の由来が書かれた記述は見つからなかった。
まるで看板から勝負を挑まれ、いともたやすく不甲斐なく敗れた、そんな心もちに。

とはいえ、実は街歩きの醍醐味はこういった、自分の処理能力をはるかに超えた、でっかいクジラみたいな物件と出会った瞬間にこそある。

一枚も二枚も上手で、歯が立たない、「ブ」だけの店。
あまりのブ頼なブ骨さにブ辱された気持ちになってブ粋にもブ然としつつも、ひとりのブ男の言語感覚を鍛えてくれたこの店に感謝し、ブ運長久とブ事を祈るばかり。

http://www3.to/tomokiymail (吉村智樹事務所)

by yoshimuratomoki | 2012-10-19 07:16 | 兵庫県

神戸スナップ 「ムカデ入荷しました!!」

神戸スナップ 「ムカデ入荷しました!!」

JR「神戸」駅から西へ、新開地方面へ向かって歩いていたところ、こんな立て札があった。

イーゼルに載せられた黒板に、

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「超レア ムカデ入荷しました!!」

ムカデはアゴや脚に毒があり、咬まれると気を失うほどの激痛が走るという。
人命にかかわるほどの毒性ではないとされているが、今年の8月12日の朝、愛知県小牧市の東名高速道路で、車内にいたムカデを追い出すためドアを開けた男性が、後ろから来たトラックにはねられて死亡した事故があった。

このようにルックスのインパクトがすでに殺人級に危険であり、それを捕えて売る人がいることも、欲しがる人がいることも、超レアとしか言いようがない。

ちなみに人間の口と肛門をつなげることに血道をあげるマッドを描いた映画『ムカデ人間』はこのたびPART3の制作が発表され、監督は「今度は500人、つなげる」と息巻いている。
「つながる」「絆」の大切さが叫ばれる昨今、これほどタイムリーな映画はないだろう(世相が求める“つながる”とはちとニュアンスが違うかもしれないが)。

「ムカデ入荷」ということは、マニアックな昆虫専門店かペットショップかな?
実際に全長20センチを超える巨大ムカデをペットとして飼う猛者もいるそうだし。

と、思って店を見ると、なんと焼肉屋だった。

まさかムカデを、食う、のか?
まさかまさか食感が生レバーに似てるとか?
もしや「超レア」って、稀少という意味ではなく……超ナマっこと?

訊けばムカデとは、多くはとれない部位である肩バラの、さらにつけ根あたりの極小なお肉のこと。
帯状にひらべったく細いため、そのためムカデと呼ばれているらしい。
そして、この超レアなムカデが提供できることが、いいお肉を扱っている証しと言えるそうだ。

確かに人気店のようで、お店は、客足が多かった。
ムカデだけに。
ムカデだけに。

ムカデだけに。

吉村智樹事務所http://www3.to/tomokiymail

by yoshimuratomoki | 2012-10-11 11:54 | 兵庫県

スピードキング☆スカルフレイム


阪神「尼崎」駅へ向かう線路沿いの通りを歩いていると、ある焼肉店に、迫力満点されど切符は減点なコピーが貼ってあった。

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「味のスピード違反」!

おぉ、言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ。
ならば1500円という料金は反則金と呼んでいるんだろうか。

最近の焼肉店ではカルビやロースの車線を追い越す勢いで「ハラミ」の人気が急上昇している。
ハラミは横隔膜。
内蔵(いわゆるモツ)だから脂肪分が少ない。
それでありがなら赤身肉のように厚い「たべで」があり、やわらかく、栄養たっぷり。
腹持ちがいいのにヘルシー。
ダイエットにはもってこいの、夢のような部位だ。

ただ一匹の牛から取れる量が少ないため、質のいいハラミは入手困難。
ゆえに「いいハラミが仕入れられる焼肉店は、ほかの肉も必ずおいしい」と言われるほどバロメーター的役割を担っている。
“幻”を謳うほどだから、この店の肉はどれもめったにお目にかかれぬほどフレッシュなのだろう。

とはいえご用心。
ハラミは低カロリーだが、あまりのおいしさに、ついついビールやごはんが進んでしまう。
気をつけないと、食後は2、3キロオーバーしてしまうかも

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by yoshimuratomoki | 2010-03-30 02:21 | 兵庫県

チョコレイトディスコ



巷では酒が好きな人を辛党、お菓子が好きな人を甘党と呼び、まるで二大政党制であるかのごとく対立させる。

しかし僕は、酒も飲むし、甘いものも大好きだ。
酒のアテにお菓子をつまむことにも抵抗感がない。

たとえば冷たいビールをぐいっとあおりながらモンブランをつついたり、雪の降る夜にこたつに入り、ちんちんの熱燗をキュッとやりながらしみじみマカロンをほおばるなんて、望むところ。
五臓六腑に染み渡るピスタチオクリーム、日本に生まれてよかった~と思える瞬間だ

そんなふうに甘いおつまみたしなみ人間の僕だが、「いや、そういう意味じゃない!」と思わずあとずさったほど、ハードル高いスイーツにでくわした。

これは神戸・湊川の商店街にある乾物屋「豆福」に貼られていたもの。

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チョコするめ

するめに、チョコ。
これは手ごわい。

確かに酒のつまみのことを「さかな」と呼ぶ。
が、だからってそんなにさかなに近しいものにチョコをまぶすとは。
「チョコ」+「するめ」という計算式が、どうしても頭の中で溶けあわない。
この違和感、強引感は、「旅サラダ」という言葉を聞いて以来だ
隣の女性歌手もこの事態に思わず苦笑。

いや、前例としてチョコレートコーティングの柿の種がある。
あれはうまい。
するめ独特の「いそくささ」さえ解決していれば、意外とアルのかもしれない。
中島美嘉と森三中のバンドを思わせるこの異色のコラボは、イカにして生まれたのだろうか。
店のおばちゃんに訊いてみた。

「最近、するめといえば中国の輸入物ばかりでしょう? 輸入品が悪いとは言わないけれど、やっぱり乾物は国産じゃないと安心できないわよね。うちのは近海で獲れたイカを新鮮なうちに天日で干した国産品。歯ごたえのよさ、やわらかさ、味の深みがぜんぜん違うのよ。チョコレートもそう。まがいものじゃない高級チョコレートを使っているの。香ばしさがまるで違うわ。本物のチョコレートだから寒い季節じゃないと溶けてしまう。だから季節限定。いまここに並んでいるぶんで今年は終わりなの」

うん、なるほど。
……いや、そういうことが訊きたかったわけではないのだが

というわけで実際に買って帰って、食べてみた。

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するめであることをのぞけば、おしゃれなチョコフォンデュである。
味は……もともとのするめがおいしいから、いける。
悪くない。
そりゃもう、なんせ国産だから。

するめはそもそも茶褐色の液体をはきだす生き物。
そう考えればこの2TONE、意外と理にかなっているのかも。
ふと「イカにもスミにも」という番組を思い出した。

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by yoshimuratomoki | 2010-03-13 21:23 | 兵庫県