2005年 10月 13日 ( 1 )

テイスト・ザ・ポイズン

 以前この連載で、「まずい」を逆に書き「うまい」と読ませる店を紹介した(結果的には、読ませきれていなかったのだが)。

 が、今回紹介する店は、そんな小賢しい真似はしない。堂々と胸をはって自虐しているのだ!

 JR東海道本線『平塚』駅から、かなり歩いたのち、こんな看板を見つけた。

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 『日本一まずい!! 元祖オロチョンラーメン』

 エクスクラメーションマークを2度打ちするほど、まずさに自信を持っているのだ。

 僕は、そこそこ美味いものを食うくらいなら、激しく狂おしく不味いものを食べ、あとで話のタネにしたいタイプ。チェーン店による味の画一化がはびこるいまどき、そうそう不味いものなんて食えないのだから。不味さこそ、いまや貴重なオリジン。しかも日本一ですよ!!(2度打ち)。この戦災いや千載一遇のチャンスを逃してなるものか!!!(負けじと3度打ち)。

 ところが……残念。店がクローズド。どうやらここはラーメン屋というよりラーメン居酒屋で、夜にならないと店が開かないようだ。東京に戻る時間が迫っていたので、泣く泣く帰路についた。嗚呼、食べたかったなぁ、まずいラーメン、日本一の。

 あとでラーメンに詳しい方に話を訊くと、この店は「まずい」どころか、神奈川県でも指折りに「うまい店として有名なのだとか。

 利尻直送の上質なコンブでダシをとり、スープに深みと滋味、まろみがある。具にピーマンを使っているのもワンポイント効いている。そして一日30食限定のチャーシューは特にデラ絶品。舌の上でとろけそうなほど、だとか。

 話を聞いているだけで腹が鳴るわ。なんだ、うまいんじゃん。いったい、どのへんが「日本一まずい!!」んだろう。その方も、理由は知らないという。

 「もしかしたら、こういうことかもしれない」

 その人は、もったいぶって、こう言った。この店が冠する「オロチョン」とは、辛さを意味する言葉(ちなみに、この店の登録商標)。辛さは9段階から選べる。「9」がもっとも辛い、と思いがちだが、この店は文字通り「1」が一番辛い。1から順にマイルドになってゆく。普通の店とは逆だ。

「アタシ、辛いの苦手だから」と、迂闊に9を選ぶと、確かに日本一まずい事態になってしまうんだそうだ(吉村智樹

吉村智樹が無責任編集 おしゃべりWEBマガジン『日刊 耳カキ』。
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by yoshimuratomoki | 2005-10-13 22:08