2004年 08月 24日 ( 1 )

笑っちゃいけないルージュマジック

 この看板は京急本線「横須賀中央」駅の裏側にある、ディープなスナック街で撮ったもの。サスペンスムービーに出てくるようなノワールめいた場所で、街ごと一見さんお断りムード。撮影する時は足が震えた(ちなみに『スナック サタン』という店もあった。ひえ~)。笑っちゃいけない雰囲気なのだ。

 で、この店はまさに、街の気配を如実に語っていた。

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 笑っちゃいけない店……。確かに看板に描かれたグラスや瓶がスベってるが。にらめっこ専門店か? 笑うと倍額か?

 不思議なもので、「笑っちゃいけない」と言われると、逆に笑ってしまうことがある。ここでいきなり話は関西ローカルに飛ぶが(すみません。ここからは関西以外の方は置いてきぼりです)、かつて『突然! ガバチョ』というバラエティ番組があったのを憶えておいでだろうか。笑福亭鶴瓶司会のこの番組には、『テレビにらめっこ』という名物コーナーがあった。

 これは視聴者から送られてきた面白いハガキを読みあげるだけのシンプルなコーナー。だが、他のバラエティ番組と違っている点は「笑っちゃいけない」こと。普通バラエティ番組といえば「笑わせて、なんぼ」なのだが、この番組はそれを逆手に取ったのだ。

 笑ってしまうと厳しい罰が待っている。観客がハガキのネタを聞いて思わず吹き出してしまうと、見張り番のマッチョマンやトサカ頭のハードコアパンクスに、地獄の部屋に連れ去られてしまうのだ(足をバタつかせていやがる女子のパンツが見えるという別の楽しみ方もあった)。そして、観客を笑わせることができた投稿者には1万円が進呈される。

 ある日、このコーナーで、「天六に一番近い都島」というネタハガキが読まれた。「天国に一番近い島」のパロディで、しかも関西人にしかわからない超ローカルネタ。それに、さして面白くもない。それでも「笑っちゃいけない」という決まりがあると、なぜか笑ってしまう者が現れるから不思議。思わず吹き出してしまったがために屈強な男に取り押さえられ、パンツ丸見えで暴れる女子。そして、なぜか隣でテレビを観ていたうちの母親がガッツポーズをした。

 なんとそのハガキは、うちの母親が投稿したものだったのだ

 母親は普段とくに面白い話などする人ではなく、どちらかというと真面目な人だ。いつの間にネタなんか考えて、しかも投稿していたのだろう。確かにお笑い番組は日頃そんなに観ないのに、このコーナーだけは異様に好きだったのだが。

 そこで気がついた。「笑っちゃいけない」と言われると、人は面白いことを増幅して考えてしまうのだと。だったら、あまりウケない芸人を集めて「笑っちゃいけない寄席」なんてやってみてはどうだろう。意外と大爆笑になるんじゃないだろうか。きっとこの店も、笑いが絶えないんだろうな。

by yoshimuratomoki | 2004-08-24 14:04