オーバー・ザ・マウンテン

 取材で千葉県は富津市に行ってきた。

 いつもは東京や大阪の街角で、重箱の隅をこちょこちょしながらミクロ目線なネタをせこく探しているのだが、さすが眼前に浦賀水道の大海原を望む地、これまでのネタとはスケールが違う! JR内房線『上総湊』駅前を歩いていると、めまいを憶えるような看板に出くわした。

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 『とんかつ・うなぎ・地魚・地酒 山の上の下

 山の上の下……どこやねん! まるでふいに禅問答を突きつけられたかのようだ。よくわからないが、深い。港町でありながら、筆頭メニューが「とんかつなのも含め

 気がついた。山の上の下、これを合体させると「という字になる。寂しい峠を腹すかせながら歩いているとき、そこに温かくてスタミナのつくトンカツや鰻が食べられる店があったら、こんな嬉しいことはないだろう。この店は漢字をわざわざ分解し、道往く者に一幅の絵のような情感を持たせたのだ。なるほどなぁ。

 店に入って主人にその感動を伝えると「いや、そういうわけじゃないんです。単にうちの店が『山の上ホテルの下にあるから」だと。感動して損した! でも、とんかつ旨かった!

 思い過ごしも恋のうち。ついでに言うが、漢字というのは実によくできている。「峠」も山あいの光景をうまく描いてしているし、元旦の「旦」なんか、ちょっとふるえがくるくらい見事。旦は水平線から太陽がのぼっている景色を表しているのだ。言われてみればそう見えるでしょ? 「囮」もスゴイし、「辛」なんて「幸」になる一歩手前なんだぞ。辛さの向こうに幸せがある。漢字って、深い。

 逆に「傘」「弓」「皿」「柵」などはそのまんますぎ

 というわけで、次回も富津市ネタです(吉村智樹)。

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by yoshimuratomoki | 2006-02-26 21:25