ガッツだぜ!

 前々回、この連載で「アキバ系の対局にある街が、僕の住む高円寺だ」という話を書いた。

 では高円寺は何の街なのか。ズバリ言うわよ! 高円寺は音楽の街である。

 高円寺に来れば、ほぼすべての音楽を味わうことができる。
 ブルースの殿堂JIROKICHI、ハードコアパンクの牙城20000V、モッズ・ガレージ・ネオGS・サイケのUFOクラブ、フォークの稲生座、ジャンクやスカム、ノイズまですべてのロックを受け容れる度量満点SHOW BOAT、その店ですら断られたような最果ての音楽が聴ける無力無善寺など、ライブハウスがズラリ。今夏なんと沖縄音楽のライブハウスもできるという。

 ライブハウスのみならず、大小のクラブ、ディスコ、DJユースのディスクショップ、ジャズ喫茶、バロック喫茶、プログレ喫茶、テクノ・モンドミュージック喫茶、ソウルバー、ワールドミュージックバー、歌謡曲バー、サイコビリー美容院、なんでもあり。パーカッション喫茶なんてものまで(店のなか、太鼓だらけ)。オールドロックならレッド・ツェッペリン、グレイトフルデッド、ZZ TOPなどバンド別にある(残念ながら一気になくなってしまったが)。これも残念だが、少し前までハワイアン、シャンソンの店まであった。

 お隣の阿佐ケ谷はジャズで街興しをしていて楽しそう。それなのに音楽で溢れているはずの高円寺には、そういった動きが起きない。これはきっと全ジャンル揃っているために、なにで街興ししていいのかわからないからだろう。そして住民に鬱憤が溜まっているから、年に一度の阿波踊りがフジロックやサマソニなみに盛りあがるのだ。

 灰野敬二や裸のラリーズのベーシストが当たり前に歩いてる。普通に歩くだけで、ロックレジェンドとすれ違えてしまう。高円寺はつくづく凄い街だと思う。

 そんな高円寺でも、聴取困難な唯一の音楽がある。それが普通の流行りのJポップ。駅前の新星堂がつぶれてしまったので、新譜が手に入らない。だから高円寺では世界に500枚しかないどレアなどパンクのアルバムは買えても、浜崎あゆみのCDを買うことができないのだ。

 そんな高円寺だから、音楽以外の店にもロッカーな反骨精神が漲っている。この雑貨店など、気合い入りまくり。

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 『ティッシュは1ケ20円ダゼ』だぜ! カッチョいい! コピーが中指立ててる。ポケットティッシュで金取ろうってスピリッツも含め

 しかしロックバンドがメジャーデビューすると、牙を抜かれてしまうもの。かつてのロックランド高円寺も、再開発の魔手から逃れることができず、最近では「フツー」の街に腐りつつある。この前行った店も、すっかり骨抜きになっちまった。アイツも昔はこのへんでブイブイ言わせていたのに、いまじゃ……。

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 『ティッシュは20円だよ

 やさしさロックになっとる……。でもいまだに20円取るところに、かすかにまだ気合いが残ってるのかな。(吉村智樹

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by yoshimuratomoki | 2005-05-30 22:12