ハンサム・カウボーイ

 以前このコーナーで「“ナウイ”と噂の店」という看板を紹介した。「いまどき『ナウイ』だなんて誰も言わないよ」なんて書いたら、なんと先日、看板が撤去されてしまった。まさかこのコラムのせい? 店主が「ナウイって死語だったのか! ナウイはナウくなかったのか……」って気付いて、はずしてしまったのか? あのコラムは死語を嗤ったわけではなく、むしろ昭和の流行語遺跡として貴重な看板だと言いたくて書いたのだが……。

 あとでわかったことだが、死語を気にして看板をはずしたわけでなく、看板のあった土地ごと再開発がかかったのが理由だという。残念! ナウイが消えてしまった斬り!(語呂悪ッ!)。昭和はさらに遠くなりにけり。再開発があると、看板が根こそぎなくなっちゃう。そういう点でも、おもしろ看板は見つけたらすぐに撮っとかなきゃいけないんだよね。

 ショックでガックシ肩を落としながら東武東上線『中板橋』駅前をぶらぶら歩いていたら、嬉しくなるほど死語ってる看板に出くわした。

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 『ハンサムらーめん』だ。「ハンサム」って、いまの若い人はまー、使わんだろう。

 ハンサムが死語化したのは、ナウイとは経緯が違う。言葉だけではなく、ハンサムボーイそのものがいなくなってしまったからだ。ハンサムとは「男前」という意味。なのだが、単にカッチョイイ男という意味ではない。目鼻立ちがくっきりしていて、清潔感があって、Vネックのセーターが似合い、ワルなムードがなく、ヒゲをきれいに剃りあげ、髪は短く整えられた、男性化粧品の香りがするような男のことをハンサムという。

 俳優で言えば、若い頃の中井貴一がズバリ、ジャスってる。ベスト・オブ・ハンサムくんだ。髪はぴっちり横分け、鼻立ちはありえないくらいクッキリ。テニスルックの似合うあの感じは、まさにハンサム。あと三浦友和。いまでも紳士服のCMができるのは、永遠のハンサムくんの証。その他、竹脇無我、森田健作、『柔道一直線』や『刑事くん』の桜木健一……、あ、もう誰もついてきてない! 顧みるに、阿部寛と唐沢寿明が最後のハンサムではなかったかと思う。ふたりがコミカルな役をやるようになったのは、ハンサムという存在自体が笑いを誘う時代になったからだろう。そして日本にハンサムボーイがいなくなってしまったから、往時を忘れられない熟女さんたちが韓国のペ・ヨンジュンに夢中になるのである。

 だからいくら男前でも、浅野忠信や、名前を忘れたけど『東京湾景』に出ていたラーメンマンっぽいヒゲをはやした男は、ワイルドすぎてハンサムとは呼べない。ハンサムらーめんの店員にはなれない。

 では、なんと呼ぶか。もちろん『イケ麺』だ!


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by yoshimuratomoki | 2004-10-12 06:55