今の事務所に来た年が2001年.秋から唯一のレギュラーだった「アニぱら音楽館」に出演し、
素性不明な謎の二人組「サイキックラバー」はデビューのチャンスを、虎視眈々と狙っていた。

ラッキーなことにコロムビアから声がかかり、今までのアニソン界に無いキャラクター（某ディレクターさん談・・・笑）が認められてトランスフォーマーの主題歌が決定！・・・だけどもだけど、諸々の事情でリリースは2003年まで待たなければならなくなった。　当時のTRANSFORMERは海外で先に放送されてたからね。


そんなデビュー前の年はライブハウスで対バンをこなしながらの日々。　集客がイマイチなサイキックラバーを救うべく、同じ事務所の野川さくらちゃんにゲストで出て貰うことも度々あったりでコラボ曲として生まれたのが「小さくI Love You」だった。
「世界で一番熱い夏」みたいな、爽やかなナンバー作りたいなぁ～とギターを爪弾きながら15分くらいでできたメロディー。これは決して手を抜いた訳ではなくて、閃きって一瞬なんだよなぁ～　楽曲の良さと作曲にかける時間は比例しないのだ！

で、歌詞は当時サイキックラバーでサポートをお願いしていたbassistの上條さん。
乙チックなタイトルと前向きな応援歌、哀愁のメロディアス＆ハードポップなナンバーはライブで披露するうちに評判をよび、NTT ドコモの「Picwalk」という端末専用に配信する為の楽曲としてレコーディングする事になった。さぁ、スタジオを探さなくては！Pro-Toolsスタジオで手頃な料金のところ…ってことで紹介されたのがスタジオスリンキー。　初めて訪れたのは忘れもしない六年前の誕生日、2002年10月11日！

当時、MACのポリタンクG3に別れを告げ、WINマシンにCUBASEをインストール、所持している音源はJV-1080とQY70だけ・・・というオレのアレンジ力やプログラミングのスキルは自己流もいいとこだったけれど、とにかくCPUパワーを駆使してソフトシンセを使いたかった・・・アナログ-デジタル変換回路（A/D）を通さないで波形データになる！っていうのが新鮮で、ハイファイな音とパーフェクトなタイミングに拘っていた。MIDI信号の遅延や不正確さに嫌気がさしていたんだと思うんだよな、今思えば。　そんなちょっとプロフェッショナルさには欠けるけれども情熱のこもったサウンドを見事にミックスしてくれたのがスタジオスリンキーのエンジニア・ゴウさんなんだよ～！　

この時完成させた音をコロムビアのディレクターに聴かせて、既に他のスタジオ＆エンジニアで完成済みだったデビュー曲を再度スタジオスリンキーに持ち込み、ゴウさんにトラックダウンをやり直してもらって発売に至ったのが『TRANSFORMER-Dream Again-／Never Ending Road』！　

で、なんでこんな話を長々書いたかというと・・・

年末にリリースされるさくらちゃんのBESTアルバムに「小さくI LOVE YOU」が収録されるというのであーる！　だけどちょっと待った、影山さんがプロデュースしたハイクオリティな楽曲とオレのデモテープみたいなアレンジが並べられて収録されちゃうって・・・・（汗）　
それはマズイ、ズイマー！　ドラムの打ち込みとか、なんでこんなベロシティでハットやキックを入れてるんだ？みたいな、我ながら謎なデータを差し替えたい。　この六年間に培った経験をちょっとふりかけて、でも当時の空気を壊さないように細心の注意を払ってスリンキーで再度トラックダウン、ゴウさんと当時を振り返りながら楽しい作業だったよ！
で、ついでといってはなんだけれど、今回のベストアルバムのマスタリングも立ちあって、様々なレコード会社で制作時期も制作環境もプロデューサーも違う作品をまとめ上げるって大変だなぁと改めて思ったな・・・今は耳の問題も抱えているので細かい作業は若干ナーヴァスになっちゃうけれど、クリエイティブな時間を過ごさせて貰ったぜ！！

それにしても最近のスリンキーのアナログ機材の充実ぶりはスゴイ。派手なルーム系のリバーブで80'sサウンドに欠かせなかったamsや、当時ウン百万円のLEXCONのディレイ、SSLのコンソールを抜き取ったモジュール等々、ヨダレモノのビンテージ機材オンパレードだよ、オレもほすぃーーー！！！