音楽評論家 平山雄一の『倶知安ね、食っちゃね』

プロフィール


音楽評論家平山雄一による【JUNK! JUNK! JUNK!
∞ 2010】の期待を語るブログ。



【ひとり股旅新曲?】今キャラ
【ひとり股旅新曲?】今キャラ_e0171532_1745845.jpg

7/25の午後、豪雨の中国地方勤労と聞いて、覚悟を決めて広島駅に降り立った。途中の神戸あたりで新幹線の窓を叩く大粒の雨に、あー、やっぱりダメかなと思いつつ、広島県に入ると、雨が上がる気配。広島駅では、パラパラ程度だ。

それでも空の色は、ぎりぎり。

カメラマンの三浦憲治さんと、レンタカーに乗り込む。そう、昨日が憲治さんの還暦の誕生日。現地でユニコーンが盛大にお祝いしてくれるとあって、取材クルー一同、気持ちは盛り上がってるのだが、やっぱり空模様はギリギリ。
会場のある庄原市に向かって走り出すと案の定、雲がどんどん厚くなってくる。
さらに進むと、あれ? 今度は空が明るくなってきたぞ。

国営備北丘陵公園に到着すると、明るい空の下でクレバが♪猫はニャー♪なんて歌ってるではないか。
さすがにピーカンってわけにはいかないが、雨はギリギリ回避できそう。

さっすがユニコーン。空前の豪雨を撃退か!

会場のでっかい公園は自然がいっぱいで、オーディエンスたちは楽しそうにのんびり過ごしている。
楽屋にはすでにOTが到着していて、アコギをチェックしている。そう、ユニの前にOTだけひとり勤労をやるのだ。
周りの仮設楽屋にはTHE BOOM、サカナクション、ロッカトレンチ、おとぎ話もいるし。

気分が盛り上がってきたところで、ユニの4人のご到着。
セイハローして、時計を見つつ、ひとり勤労の行なわれる “神楽殿ステージ”に向かう。

途中に古代製鉄“たたら”の展示があったり、小さな池にはガマの穂が生えてたり、このあたりは出雲文化の匂いがする。古い民家や水車が移築してあったりして、いい公園だなあ。

早くも入場制限のかかった会場に急ぐ。道に人があふれている。そりゃそうだよな、広島球場をたったひとりで満員にしたOTだもの。

なんとか通してもらって会場に着くと、小さな広場はすでに人人人でいっぱいだ。

舞台となる神楽殿は、立派な木造建築で、屋根の下に張り巡らされた注連縄は龍の姿をしている。たぶん“鉄の神様・やまたのおろち”がモチーフになっている装飾だ。久々の“ひとり股旅”を、こんなシチュエーションで見れるなんて、ラッキー&ハッピー。

夕方5時を少し過ぎたところで、おなじみのBGMが流れる。おお、これだこれだとウキウキしていると、頭に手拭い姿のOTが登場。神楽殿のある小さな谷に、大歓声が響く。入り切れないで道から見てる人たちも、両手を挙げてOTを歓迎だ。

椅子に座って、まずは横に置いたミニ冷蔵庫から缶ビールを取り出して、パキッと開けてチビリ。

蝉が鳴いてます。これは本物の蝉。アゲハ蝶も飛んでます。

3本並べたギターのうち、濃いブラウンの1本を手にすると、楽譜を開いてコードを確認するようにジャカジャカ鳴らす。

「だいぶ忘れてたんで・・・」とOT。

注目の一曲目が始まる。過ぎ去りしダーティー・サーティーのテーマソングをゆっくり歌い出す。会場から「おお」と小さな声が上がった。そう、今日の僕らは、大げさで自由なのだ。

歌い終わって、「ありがとうございます。今5分くらい経ったよね。ということは一曲5分として」と今度はバーボンのボトルを取って、氷の入ったグラスにドボドボ注いでグビリ、「この後もあるしなあ」とニッコリ。
OTも久々のひとり股旅が楽しそうだ。

次はかなり意外な曲。以前の股旅でもたまにしかやらなかったナンバーだ。そのせいか、ギターがちょっと頼りない。

「大丈夫かねえ」とOT。自分で突っ込んでどうする(笑)。「雨が降らない。わけがわかんないよね。今日の最後のほうは、たぶん大惨事。誰がやんのか知らないけど(笑)」。おとぼけMCに、みんなゲラゲラ。

次の曲のイントロが始まる。
ん? んん?? どっかで聴いたことあるイントロ。OTが歌い出したのは、なんとくるりの名曲ではないか。一緒に口ずさんでる人がけっこう多い。やっぱOTとくるりは共通してるところがあるのかな。もしかして、9月の京都音博の練習かいな(笑)。歌い終わって「新曲でした」とOT(笑)。「暑いっすね。冷蔵庫だけじゃなくて、扇風機も用意すればよかった」。

そして“ひとり股旅”はここからがすごかった。

ギターもしっかりしてきて、エンジン全開、声が出まくる。濃い緑をたたえた森に、OTの力強い声が朗々と響き渡る。いいな、いいな、大自然股旅は。

「いかん、いかん、時間がない。ダラダラし過ぎました」、時計を見ながらOTはさっきの自分のMCに突っ込むように♪雲行きがぁ♪と歌い始めて、「あ、これ、さっきやってないよね」と観客に確かめたから、会場はまたまた大爆笑。

「最後の曲です」とOTが言うと、会場から「えーっ?!」、すかさず「最後の一曲は『人生は上々だ』を30分やるか(笑)」。舞台監督から、あと2曲、大丈夫と指示が出る。「じゃ、あと2曲ね」とOT。

この2曲で、それこそジャマイカからインドネシアまで聴こえるくらいに声はさらにでかくなる。神楽殿ステージに集まったオーディエンスは、ひとり股旅を十分楽しんだのだった。

OTは深く一礼して、ビールとタバコを持って去った。

そろそろ日も傾いてきた。こうして“股旅ユニコーン・ダブルヘッダー”第一回戦が終了。

第二回戦、ユニコーン編の続報を待て!!

(写真は、ひとり股旅のスタートを待つ神楽殿ステージ)
by emm_unicorn | 2009-07-26 17:04 | ユニコーンの今から昔から