UTSU-WA? Vol.2 陶芸家・新見麻紗子さんのこと

友人4人と昨年11月からはじめたプロジェクト、UTSU-WA? の開催がせまっています。
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UTSU-WA? は日本の陶芸家さんたちがつくるうつわに、
世界を飛び回って活躍しているシェフ船越雅代がコース料理をサーブして、
毎回限定20名様のゲストといただくプライベートディナーの会。

先日はウォールストリートジャーナル Asiaの「秘密のサパークラブ」というトピックで紹介していただきました。世界中にプライベートディナーの会があるようでUTSU-WA?もそのひとつとして!
http://blogs.wsj.com/scene/2012/06/07/dinner-is-ready-tell-no-one/

参加してくれるみなさんひとりひとりに私だったらうつわをどう楽しんで使うかな?と考えてもらえたらと、会の名は「UTSUWA」+「?」。人の輪や和みの時間の「UTSU-和?」の意味もあります。

今日は2月に行われたUTSU-WA?Vol.2に参加してくれた陶芸家の新見麻紗子さんについてご紹介。

新見さんは千葉県にて作陶されています。オリジナルの釉薬のうつわは、はかなげな印象の中に確かな美意識を感じさせるものばかり。

今回は「うつわと食との会」。お茶が大陸から伝わったことにちなんで料理は中華風懐石です、と事前にお話したら、この会のためにオリジナルのうつわをデザイン&制作してくださいました。

こちら、ennea(エンネア)。エンネアは9という意味。お茶も陶磁器も大陸からつたわったものですが、中国では9という数字は永久や永続を表す古数字だそう。この平たいお皿は、和食器にある八角形かと思いきや、アシンメトリーな九角形になっているのです。9の由来には縁起の良さも感じられてハレの食卓にも使いたくなります。実際、揃いで6枚ご注文されていたゲストもいらっしゃいました。前菜とメイン料理でサーブ。写真はメイン料理です。
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こちらは抹茶碗。UTSU-WA?ではうつわを使い回して楽しむことも提案のひとつ。ご飯やスープにも使えるものをとお願いしました。シンプルですが内側に抹茶碗にみられる「茶筅摺り」とよばれる段差がついています。クリーム色の釉薬が抹茶のグリーンだけでなくお料理を引き立てます。
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こちらは円、小皿。
中華的な 桃 や 雲 花? 食卓を空や庭に見立て、なんのかたち?と連想する楽しみをもたらしてくれます。
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二つの円、小皿。(写真の抹茶碗は二階堂明弘さん作)
ひょうたんではない形の提案とのこと。置いておくだけでも絵になる飾れるうつわでもありますね。
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クリーム色の陶肌は、京都の伝統的な焼物に使われる仁清土(にんせいつち)と釉薬。江戸時代に京都の色絵陶器を完成した人物と言われる野々村仁清は、自分の作品に「仁清」の印を押し、無名の職人ではなく「作家」としての意識をもって陶磁器にむきあった最初期の陶工といわれています。
仁清写しの抹茶碗などその技術は「写し」としても後世に伝えられていますが、いわゆる仁清写しとは、細かい貫入のうつわに上絵で装飾を施すこと。新見さんは、京都試験場の課題で上絵のうつわを作った際に、上絵を施す前の、淡い黄色味と貫入のみで美しいのではないかと感じ、食器をつくるならば仁清土・上絵なし、とつねづね思ってらしたそうです。それを今回実際にやってみてくださいました。使うほどに貫入に色が入り育っていくうつわです。

新見さんは、うつわ同様、ご自身もとても美しくおしゃれ。
うつわのかたちの由来やそこに込めた想いをお話される姿も女性らしく朗らかです。
目の前のうつわ以上のものをこちらに想像させてくれる作品。
うつわそのものの魅力だけでなく、それをとりまいている目には見えない世界まで作品にしてしまう聡明さに、私たちも、ゲストのみなさんも感銘を受けました。
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新見麻紗子さんは、ただいま絶賛準備中の、Vol.3にも参加してくれます。
楽しみ。
by tsena | 2012-06-22 10:00 | UTSU-WA? | Comments(0)