HOME MADE 家族とのニューバージョンの"WE ARE ONE"(正式にはWE ARE ONE-Fickle Remix-という名前です)については前回話した通り、両者がガッチリ手を組んだ仕上がり具合で、個人的には Run-D.M.C.がエアロスミスの"Walk This Way"をリメイクしたのに近い感覚を覚えていて、とても嬉しく思ってます。
前回のコメントで多数頂いた内容の中に、リリースの形態を疑問視する声が多く含まれていました。そのほとんどが、どうしてアルバムの中のコラボ曲3曲と抱き合わせる形で出すのか?というものです。どうして何度も同じ曲を買わなきゃいけないの??ごもっともだし、僕だってその事は分かってます。こういう場合、次に標的となるのが必ずエイベックスです。商売のことしか考えてない、ファンの気持ちを理解してないect・・・
今回のHOME MADE 家族との新しい"WE ARE ONE"は「WE ARE ONE -CERTIFICATE-」として、フミヤさん、Mayちゃん、9mm卓郎君とのコラボレーション楽曲、そして俺達単体での"WE ARE ONE"を含んだ5曲入りの「コラボ・ミニアルバム」という形でリリースされます。
では結論から先に言います。この形でしか出せなかったのです。そしてその中でこれが考えられるベストな形でのリリースだったんです。つまり、そもそもコラボレーション楽曲のリリース自体、レコード会社の垣根を越えて実現に向けていくわけですから、会社同士の様々な制約、ルールというものが生じてきます。今回言える事は、俺達(もちろんエイベックスも含めて)は元々HOME MADEとの"WE ARE ONE -Fickle Remix-"をシングルリリースしたかったという事です。そしてカップリングに僕らの未発表曲を入れる予定でした。本当です。でもそれだとリリースが出来ませんでした。これ以上は言いたくないんです。だからお願いですから、「レコード会社同士のいろんな制約」をまず考えて欲しいんです。「ファンの事を考えてない」とか「エイベックスが悪い」というのは究極に近視眼的意見です。僕らはファンの人達の事をすごく考えてます。
じゃあシングルリリースという形(配信限定も)が不可能となった時、選択肢は「曲をお蔵入りさせる」もしくは「解決策を捜してリリースする」です。僕らは後者を選びました。それが非難された事は何とも皮肉ですけど、想いを語らせてください。だったら「作品」として耐えうるものにしたかったんです。そこで思い付いたのが、「僕らは一つ、ジャンルは関係ない」というコンセプトを具現化したWE ARE ONEの"CERTIFICATE"(証明書)といえるミニアルバムとしてリリースする事でした。僕らの"WE ARE ONE"に始まり、卓郎君、Mayちゃん、フミヤさんの曲という風に物語が進行していって、最後にHOME MADEとの"WE ARE ONE-Fickle Remix-で締めくくる・・・これは俺達にとっても「ジャンルを超えて一つになれた」「人と人ってそんなに違わない。その気にさえなりゃ仲良くなれるんだぜ」っていう事を証明した、誇らしい記念品になると思ったし、現になりました。これを、何度も買わせやがって!ムカつくし全然欲しくないや。とか、なんかしっくりこない!と思った人はどうか買わないで下さい。全然いいんです。ただし、そういう人はこれが「作品性」と「政治的事情」を考えた上でベストな選択だったという事を頭の片隅に入れておいてください。
とにかく、物事というのは何となくのイメージや先入観で語られがちです。マイケル・ジャクソンにしても一部の熱心なファンは未だにSONYを目の敵にします。一時期、確かにマイケルとSONYの代表、トミー・モトーラとの間に個人的な確執がありました。それによってマイケルが、SONY=トミー・モトーラといった調子で、SONYを悪く言った事が原因で未だにSONY=悪魔のように思ってるマイケル信者がどれだけ多い事か・・ノーナの郷太君ともたまにこの話になっては呆れてしまいます。もうすぐ出る未発表曲を集めた新譜がSONYから出るというだけで非難轟々です。そういった人達はマイケルを愛するあまり、こういった事に盲目的なんです。
まぁ種類は違えど、俺達がレコード会社をエイベックスに移籍した事で言われる様々な意見に対して、俺は同じような印象を受けています。最近ライブ会場に入る時、以前は割としていたファンの人との写真撮影をやらなくなりました。本番までの準備に以前よりも時間をかけるようになったからです。なのでここ数年は握手やサインまでで、写真はお断りすることが多くなりました。ところが一部の人はこれを「エイベックスに移籍したから管理が厳しくなった」と言ったのです。よく考えてみてください。コンサート・ツアーというものは事務所が取り仕切って運営するものです。レコード会社は直接は関与していません。アルバム「MADE IN LOVE」の時に部分的にデジタルなサウンドを取り入れた事に関しても「エイベックスに染まった」と言われました。俺達はEMIにいたとしても、キングレコードにいたとしても、インディーズであったとしても、同じサウンドを作ったでしょう。
多くの人は先入観や「多分そう思うから」で判断するんです。でも真実はいつもそのちょっと先にあるんです。俺は自分の親愛なるファンの人達にそういった判断力と冷静さを常に求めています。そして信じてます。長く書いちゃいましたが、俺は思った事を素直に書いただけで、自分が正しいと言ってるわけじゃありません。これを読んで気分が悪くなった人がいたら、それはその人の正直な感想だし、全くもって否定しません。とにかく「WE ARE ONE -CERTIFICATE-」に俺は誇りを持ってます。(12月29日発売。1,500円です!)これをアルバムとは切り離した、ちょっとした記念品と思ってもらえたらすごく嬉しいです。ちなみにこれはファンの人に対する気持ちというか筋ですが、マスタリングはアルバムとは変えてます。アルバムではニューヨークのジョージ・マリノに頼みましたが、今回はSuperflyやYUKIちゃん他、たくさんの優れたCDをマスタリングしている阿部充泰さんにお願いしました。「CanとCan'tのパスポート」ではアルバムではカットしていた、曲が始まる前の卓郎君と俺の笑い声を復活させてあります!
ミックス作業中のHOME MADEのみんなと俺達。楽しかった!
和田 唱