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漫画家Nのイラストと文章で綴る映画な日々

にしかわたく (漫画家)

マンガ家・イラストレーター。生まれて初めて劇場で見た映画は『グリズリー』と『テンタクルズ』の二本立て。
現実逃避のスピードを極限まで加速すればいつか現実を追い越せると信じ、今日もロスト・ハイウェイをひた走る36歳、デブ専。
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『野球狂の詩』(1977・日活)
『野球狂の詩』(1977・日活)_e0000251_0281667.jpg

ユニフォームを着ると股間の部分が非常にアレな

モリマン水原勇気(木之内みどり)

が、協約を完全無視してプロ野球入り。
七色の魔球“ドリームボール”で
並み居る強打者をバッタバッタと三振に斬ってゆく、野球ファンタジー。

水島新司原作と言えばまず思い出すのは
“知能指数ゼロメートル地帯”の称号を授かった
鈴木則文監督の伝説の映画『ドカベン』。
存在自体が奇跡のようなこの野球…ではなく柔道映画を
「天に愛された作品」とするならば
もうひとつの水島先生の代表作『野球狂の詩』の実写版は
「人間愛の溢れる労作」と呼んであげたい。
本当にプロ野球を愛する人たちが作った
そして

愛しすぎたがゆえに

バカ映画になってしまった

実に人間臭い(おじいちゃんの口、くさ~い)1本なのであります。


お話は東京メッツの超ベテラン投手、岩田鉄五郎の引退試合で幕を開けます。
このオッサン、なんと御年53歳。
演じるは怪優といえばこの人、小池朝雄。
ただでさえ悪い血色が、老けメイクでさらに物凄いことになっており

ハトの糞だらけの銅像

みたいな顔色をしています。
球もフォームも年相応にへろへろ。
これはおそらく野球映画史上初だと思いますが
「飛んでいるボールにトンボが止まる」という

マトリックスばりのVFX

が拝めます。
どんなに打たれても引退試合だから交代はなしという訳で
結果は53対10でメッツの負け。(アメフトか!)
しかも試合後には引退撤回してブーイング浴びまくり。
男・岩田鉄五郎、勝負にこそ敗れましたが

688球を投げ抜く異常な鉄腕

を見せつけました!
…タイトル前ですでにこの濃さですからね。

もうおなかいっぱいですよ。


現役時代のノムさんが水原勇気相手に三振するシーンや
『ドカベン』に続き

限りなく産業廃棄物テイストなヒゲ面

を披露する水島大先生
球団の寮でセクハラの限りを受けまくる木之内みどりなど
全篇みどころたっぷりなのですが…

この映画、根本的な欠陥が。

怪我で若くして引退を決めた選手や
長年親しんだ球団からトレードに出されたベテラン捕手など
プロ野球の厳しさと選手たちの心の機微をえらく丁寧に撮っていて
素朴な語り口でなかなか泣かせるんです。

もしかして凄ぇ傑作かも・・・

と感心していたら
人間ドラマ描きすぎて、案の定時間が足りなくなって


肝心のドリームボールが


完成しないでやんの!



たぶん続編作るつもりだったんでしょうけど
これ以降の日活は経営傾きまくりでそれどころじゃなかった訳で。


『20世紀少年』なんて糞つまんない映画を3本も作るんだったら
思い切って残りの2本やめちゃって、かわりにコレの続きを作って下さい!

マジでマジでマジで!




ブログランキング〜
↓小室の最高傑作は「愛しさと切なさと心強さと」だと思う。


『野球狂の詩』(1977・日活)_e0000251_043446.gif
# by taku-nishikawa | 2008-11-05 00:28 | すぽぉつ地獄 | Comments(6)
『トロピック・サンダー』(2008・米)
『トロピック・サンダー』(2008・米)_e0000251_505335.jpg

こんばんは。
先ごろドブに捨てた30万円を補填すべく
副業を始めた男・にしかわです。


んーで、これ。『トロピック・サンダー』。
この秋公開される映画の中では、ダントツの期待作。
自分で監督した映画は今まで打率100%のベン・ステイラー
ハリウッドで今最も乗りに乗っている男、ロバート・ダウニー・Jr
とにかく目が離せないジャック・ブラックと
どこから見ても隙がないメンツ。
ずいぶん前からいい評判ばかり耳にしておりまして
これだけは間違いないだろうと、安心して試写を見たのですが…


うぅぅぅぅぅぅぅむ。


明らかに期待しすぎていた上に
なんだかんだでプロットはすべて事前に耳に入っていて
しかも爆発的に面白いシーンは、みんな予告で見ちゃってる。
後から頭で考えると良く出来た映画だと思うんですが
見てる最中は、爆笑ってとこまで行けませんでした…。

「予備知識」とか「事前の期待」って

ほんと邪魔以外の何者でもない。

「どんなに期待がでかくても
それ以上のものを見せてくれるのが本物の傑作」
ってゆーのは確かに正論で、実際、年に数本はそういう例にぶつかりますが
そんな化け物みたいな映画って
なかなかあるもんじゃないんですよねー。

「傑作じゃないんだったら、楽しめなくて当然じゃん」
と思う人がいるかもしれませんが
私の本音はこうです。

どんなひどい映画だって、楽しく見たい。

だってその方がゼッタイ得だもん!

それがわかってるから
日頃から映画評とかなるべく見ないようにしてるんですが
完全に情報を遮断しちゃうと、面白い映画をいっぱい見逃すことになる。
「ネタバレなしならOK」かというとそうとも限らなくて
ストーリーにまったく触れてなくても
決定的なイメージを植えつけられてしまうってのはよくあることなのです。
しかもその文章なりお話なりが面白ければ面白いほど
影響力も大きくなるってのがまた難しいところで。

野球の世界には
「名選手、必ずしも名監督ならず」とゆー言葉がありますが
映画でいうと、こういうことになりますでしょうか。

優れた映画評が

優れた映画紹介であるとは限らない。

んん~悩ましい悩ましい…。


とゆー訳で、私のような犠牲者を少しでも減らすため
今日は映画の内容については一切触れませんでしたが
ひとつだけ言っちゃおうかな…

一番面白かったのはステイラーでもダウニーJr.でもブラックでもなくて

カメオ出演のア・イ・ツ。

「アイツ」の正体を確かめたい方は、ぜひとも劇場へお出かけ下さいまし!





ブログランキング〜
↓夜がまた来る。


『トロピック・サンダー』(2008・米)_e0000251_043446.gif
# by taku-nishikawa | 2008-11-04 05:02 | お笑い地獄 | Comments(11)
『かけひきは、恋の始まり』(2008・米)
『かけひきは、恋の始まり』(2008・米)_e0000251_0321829.jpg

1920年代…プロのアメフトがまだマイナースポーツだった時代。
ドッジ(ジョージ・クルーニー)はベテランの名物選手だったが
長年キャプテンを務めてきた「ダルース・ブルドッグス」が
不況のあおりをうけ解散の危機に。
そこでドッジは一計を案じ、第一次大戦の英雄であり
大学アメフトの超人気選手・カーター(ジョン・クラシンスキー)を
大金を積んでスカウトし、チームの再生に成功する。
そんなカーターを密着取材する美人記者・レクシー(レニー・ゼルヴィガー)。
実は彼女の目論みは、カーターの本当の戦歴を聞きだし
彼が“作られた英雄”であることを暴露することだった。
ただでさえ複雑なこの3人、恋愛面でも三角関係に発展。
そんなドタバタの中、ライバルチームに電撃移籍するカーター。
恋とスキャンダルと男のプライドを賭けた世紀の一戦が、今幕を開ける。



『コンフェッション』『グッドナイト&グッドラック』に続く
ジョージ・クルーニーの監督第3作。
前2作を見た方はおわかりの通り

この人、見かけによらず

なかなか腰の入った映画を作ります。

今回はアメフトがビッグ・ビジネスに生まれ変わる前夜を
往年のスクリューボール・コメディ(…ってゆーんだそうです)
のスタイルで撮り切りました。


「今年は映画の当たり年」と何度も言っている私ですが
実を言うと、ラブコメだけはハズレ続き。
大好物ジャンルの不作を寂しく思っていたところにこの映画。

あのオッサンならきっとやってくれる…。

つぶらなお目々をキラキラさせながら試写室へ向かう39歳。

…で結果、良い方に裏切られました。
金離れのいい女性客を当て込んで、この邦題をつけたんでしょうが

中身は完全に“男の映画”。

クルーニーとゼルヴィガーの丁々発止のやり取りは文句なしに楽しく
恋愛ものとしてもよく出来ていることは事実なんですが
この映画の核になるテーマはズバリ

「プロスポーツの功罪」。

原題の『Leatherheads』は
当時のアメフト選手が被っていた皮製のヘッドギアのこと。
ごっつい防具に包まれた、ロボットじみた選手の姿しか見たことのない我々の目には
この20年代の素朴なアメフトのスタイルが実に新鮮に映ります。

限りなく「草アメフト」に近かったこのスポーツが
現代のようなショーアップされたビッグ・ビジネスに生まれ変わることで

確実に失われたものがある。

そのことをこの映画は教えてくれます。

ラフ・プレイ(ときには乱闘も含む)や
選手のずるさ(サッカーで言う“マリーシア”)。
たくさんの人間が見、大きな金が動くことで
「公正」の名の下、こういった人間臭い猥雑さがスポーツから排除されていく。
加えて、現代のプロスポーツとは切っても切れないテレビ中継という要素。
CMにあわせてプレーを止め、ビデオ判定を盛り込むなど

ゲームはどんどん人間の手から離れていく。

こうした「管理されたプロスポーツ」
引いては「現代という時代そのもの」に対して
ロートルのジョージ・クルーニーが単身で戦いを挑んでいくラストは

巨大な風車に立ち向かうドン・キホーテ

を見るようで、胸が熱くなりました。


最後に主演の2人についてちょいと。

クルーニーが脚本段階で決めていたという、レニー・ゼルヴィガー。
確かにコメディエンヌとしても芸達者で、個人的には好きな女優なんですが
この

瘤取り嬢ちゃん

に、まわりが口々に「美人記者、美人記者」言うのがちょっと寒い。

クルーニーとのキスシーンで、2人の顔を逆光で撮って
シルエットだけで見せるカットがあるんですが
ゼルヴィガー嬢のほっぺの線が見えちゃってて失笑。

この人はどこまで行っても
シャーリー・マクレーンタイプのファニー・フェイスなんだから
始めっからそーゆー設定にすりゃ誰も傷つかずに済むでしょうに…。


そこへ行くとジョージ・クルーニーはほんまいい男ですな~。
体の隅々から

古き佳きハリウッドオーラ

が溢れまくっております。

『フロム・ダスク・ティル・ドーン』で最初に見た時は
「テレビ顔のあんちゃんやな~」とゆー感想だったんですが
(ブルース・ウィリスの時も同じことを思った)
いい感じに歳を取って、渋みが増してきた今になってみると
ブラッド・ピットやマット・デイモンが進んで舎弟になりがたる気持ちが
よーくわかります。


ま、とゆーことで
チケット売り場で言うのが照れ臭いタイトルになっちゃってますが…

スポーツ好き男子に

特にオススメでーす!




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↓夜になって鍋買いに出たら道に迷った。暗いよ寒いよ怖いよー。


『かけひきは、恋の始まり』(2008・米)_e0000251_043446.gif
# by taku-nishikawa | 2008-11-02 00:35 | すぽぉつ地獄 | Comments(2)
『ブッシュマン キョンシーアフリカへ行く』(1991・香港)
『ブッシュマン キョンシーアフリカへ行く』(1991・香港)_e0000251_21293637.jpg

サザビーズのオークションに“中国古代のミイラ”(キョンシー)が出品された。
入札したのは、香港から来た若者と道士のコンビ。
このキョンシーは若者のひいひいひいひいひいお爺さんで
ご先祖様の遺体を取り戻すべく、はるばるイギリスまでやって来たのだ。
何とか落札に成功し、帰りの飛行機に乗り込んだまではよかったが
パイロットが進路を間違い、アフリカ上空で燃料が無くなってしまう。
ご先祖様を連れて命からがらパラシュートで飛び降りた先にあったのが
かの有名な“ブッシュマン”の村だったから…さー大変大変。



長い香港映画史上、ロボコップだの忍者だの宇宙人だの
ありとあらゆるキャラクターたちと共演してきたキョンシーですが
今回満を持して

ニカウさん(本物)と夢のコラボ!

まぁ誰の夢なのかは知りませんが…少なくとも私のではないです。

邦題もわかりやすくて好感が持てますが
この映画、原題が実にイカしています。

『CRAZY SAFARI』

狂えるサファリ…まさにこの映画の内容そのものです。


もともとユルい香港映画のノリが
スタッフの旅行気分も手伝って、さらにユルユルに。
前半は「アフリカ=動物」って安易な発想で
ライオンに食われかけたり、ヒヒに食料盗まれたり
着ぐるみ感全開のサイに追い回されたりと

ベタなアフリカギャグ

が執拗に繰り返されます。

何度教えてもガラスに顔をぶつけて怪我をするマンボウのように
馬鹿の一つ覚えのベタギャグを繰り出し続ける登場人物たち。
「ああ、もうこれ以上耐えられん…ちんこいじりに逃避したい」
とリモコンのポーズボタンを押しそうになったそのとき…
激しい暴風雨がふっと止み、台風の目に入ったときのような
奇妙な感覚に突然襲われた私。
こ…これはもしかして…

“ベタの向こう側”?

香港映画好きの間で、まことしやかに囁かれているあの伝説。
ベタでベタで死ぬほどベタで
もうこれ以上耐えられないという地点を突破すると
そこに広がっていると言われる、安息の地。

ベタの底がこんなに清浄だなんて!(古い)


…しかしこの映画、ここからが凄い。
今まで緩い坂道を惰性で転がり続けていただけのポンコツが

ラスト20分でいきなり

アクセルを限界まで踏み込むのです。

奴隷商人の白人が、悪徳部族を率いニカウ村を襲撃。
その部族の最終兵器は、黒魔術によって蘇らせた死体です。

ご先祖様VSブラック・ゾンビ

血で血を洗う死体同士の熱いバトル
これがほんとのデスマッチ。

コレを見てすでに震えるほど興奮していた私ですが
この映画、ラストにそれを上回るギミックを用意していました。
なんとなんとなんと


ニカウさんに


ブルース・リーの


霊が憑依!!!


感動のあまり私の両目から溢れる滂沱の涙。
滲んだ画面の中で熱い雄叫びを上げるそのシルエットは
完璧にブルース・リーのそれでした。
生真面目なニカウさんのことなので
きっと一生懸命ビデオを見て研究したのでしょう。


これだからバカ映画発掘は止められない。


やっぱり僕たちのニカウさんは
アフリカの大地のようにデカかったです(号泣)!





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↓1ヶ月ぶりにジョギングしたら膝が・・・膝が・・・


『ブッシュマン キョンシーアフリカへ行く』(1991・香港)_e0000251_043446.gif
# by taku-nishikawa | 2008-10-31 21:43 | Comments(6)
ひとり大恐慌
ひとり大恐慌_e0000251_20585657.jpg

またまたやってしまひました…

季節の旬のご挨拶、自己嫌悪スパイラル。
ブログの更新頻度で一目瞭然ですが
ここ1ヶ月ほど、濁った淀んだ腐った沈んだ地団駄示談だ
逃避の日々を送っておりました。

で昨日、財布が空になりまして
銀行で金を下ろそうと通帳を取り出した際
出入金履歴を見て、凍りつきました。

今月だけで

パチンコ30万いかれとる。

ギャンブルにハマった経験のある人ならわかると思いますが
頭に血が上りますと、金が金でなくなると申しますか

むしろ金を捨てたい

っつー暗黒モードに入っちゃうんですね。
んで私の場合、「熱くなる」とゆーよりも
前述のように極端な現実逃避が目的なので
この濁りに濁ったグルーヴに浸り切ってしまう癖がある。


ここのところ本当に一筋の光も見えなくてですね…
この暗いリズムに包まれて、目隠しをして踊り狂っていた私。
それが預金残高を見たショックと
仕事の方でちょっとだけ嬉しいこともありまして

やっと抜けましたトンネル。

今朝は朝から1ヶ月ぶりに洗濯と掃除をし
仕事もちょっと頑張りまして
今はドビュッシーのCDをバックにこの文章を書いてゐる。
(気持ちが荒んでいるときクラシックは聴けない)

まぁ、こうして無事現実に復帰できた訳ですから
30万も授業料と思えば安…安…安ぅぅぅぅぅ

安いなんて口が裂けてもうくく。


だって30万ですよ。
ハンバーガーが3000個食えるし
3食牛丼だったら、10ヶ月も延命できるんですよ。
(この食生活で生き延びる意味があるかどうかは微妙ですが)

趣味の方に換算してみますと
私が年間で映画に使う金額が、たぶんこれくらい。
いやー、お金の使い方(あるいは捨て方)って
ほんと様々ですよね…。


てな訳でそんな最低の日々の中も映画だけは見ておりましたので

明日からまたブログ再開します。

コメントして下さった方、レス遅れまくってすみませんでした。


ところで今日の掃除の際、1ヶ月ぶりに台所に近づきまして
鍋の蓋を取ったら出てきた光景に
思わずヤンキーテイストで「ワーオ」と叫んでしまいました。
もはや最初に何が入っていたのかは思い出せないのですが

蓋の裏までびっしり伸びた菌糸の樹海。

ほんと、標本にしたいくらい見事に育っておりました。
生命のゆりかご、コアセルベート所沢。

そんな我が家の新しい家族のポートレートを披露して
今日の記事の締めとさせていただきたく存じます。
ご静聴、ありがとうございました。

ひとり大恐慌_e0000251_20592942.jpg

3人目の旅の仲間が現れた!





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↓嗚呼、また鍋を買いに行かねば。


ひとり大恐慌_e0000251_043446.gif
# by taku-nishikawa | 2008-10-30 21:04 | 仁義無き日常 | Comments(18)
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