
今週の日曜洋画劇場でやってましたね。
ジム・キャリーの『マスク』。
実を言いますとこのバカ映画
私のそれまでの映画の見方を180度ひっくり返した
記念碑的な1本なんです。
20代の終わり頃に、好きだった女に振られましてね。
もうアレですよ、
しんでやるー
もしくは
ひんでんぶるぐー
まぁ要するに、ここで一度
全人格が崩壊した訳でございます。
実は当時、訳あってキューバ滞在中。
語学留学と言えば聞こえはいいですが
実際のところ、1年間何もせず遊び倒し。
しかし失恋した後、毎日ヒマってのは
なんにもいいことはなくてですね・・・
時間無制限・1本勝負
廃人なり放題マッチ
のゴングが鳴りました。
・ほとんど部屋から出ない
・ 1日のうち半分くらいは泣いてる
・突然意味不明の叫び声を上げる
・飯が喉を通らず激やせ
・泥酔して暴れ、キューバ人に監禁される
この何も手につかない状態が2〜3週間続きましたかね
あまりに露骨なヘルレイザーっぷりに
ホームステイ先の黒人のおばちゃんもドン引き。
そのうちよーやっと外に出れるまでに回復しましたが
相変わらず何をやってもしんどいことには変わりない。
んで、ここで
今日の映画の登場と相成る訳でございます。
下宿先から歩いて1分くらいのところに
シネ・アンバサドール
という場末の映画館がありました。
その時ここでかかってたのが『マスク』だったんです。
この劇場のプログラムは週替わり。
1日目にふらふらと入って見て以来
『マスク』の上映期間が終わるまで
毎日通いました。
中身のなさが良かったんだと思います。
映画を見てる間だけ、辛さが紛れるんですよ。
私はひとつひとつのギャグに必要以上に反応して笑い
最後にジム・キャリーとキャメロン・ディアスが結ばれるシーンで
毎回決まりきったように必ず号泣しました。
もぎりのおばちゃん、怪しんでたと思いますよ。
むさくるしい東洋人が連日劇場に来て
毎回目を泣き腫らして帰っていくんですからね。
「ハポネス(日本人)ってのは全員変態だ」
くらいのことは思ったかもしれません。
それまでの私は、もちろん映画は大好きだったんですが
どこか高みの見物とゆーか
安全地帯から出ない見方をしてたと思うんです。
自分もストーリーを考えたりする仕事をしているせいもあり
作り手側の目線ってゆーんですかね
面白がることは面白がるけれども
ぎりぎりのところでは、客観的なポジションを守るという癖が
無意識のうちについていた。
ところがこのときはそんな余裕がなく
目の前の痛みから逃れるために
まったくの無防備な状態で映画にすがったんですね。
言い訳の余地のない
現実逃避。
1週間たって次の映画が始まる頃には
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ
回復した自分がおりました。
この体験以降
映画は私にとって、完全に
逃避のメディア
となりました。
おそらく私は死ぬまで
映画とこういう付き合い方をしていくと思います。
そのこと自体にいい悪いはないと思うんですけど
ひとつ確実に言えることは
私
前より映画が
好きになりました・・・
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