厚紙で作られたリアルな風景写真に感じたもの@トーマス・デマンド展

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Thomas Demand(トーマス・デマンド)展の内覧会に行って来たよ。

東京都現代美術館。
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ドイツの現代美術作家。

その作品は、2つの行程を経て出来上がる。
1)政治的・社会的な事件が起きた現場の風景を写真を元に厚紙で精巧に再現。
2)それを撮影する。

だから観られるのは、完成した写真作品のみ。
作られた厚紙たちは、撮影が終わると取り壊しちゃうんだって。

もったいない気もするけど
でも彼にとってそれは行程であって作品ではないからだよね。

平面にプリントされた大きな作品たち。

それは、アメリカ大統領の執務室だったり
まだお湯の入ったままのバスタブだったり
鍾乳洞がたくさんある洞窟だったり。

新作のひとつとして福島第一原発の制御室もあった。
(地震によって天井が剥がれた様子もそのまま再現)

どれも一見、まるで本物を撮影したかのように見えるけれど
すぐに「あれっなにかおかしい」と感じる。
カーテンも金属も絨毯も全てが同じ質感(厚紙)で表現され
そしてそれぞれのモノのもつ歳月を経た感じが全くない。

私には限りない虚無感が広がって見えた。

感情がなくて
存在もなくて。

人がいるはずの場所に誰もいない。
いるはずの人がそこにいない。

静かに自分にいろいろと問いかけたくなる作品たち。

7/8(日)まで。
ぜひ。
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