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フランスのエスプリを味わう

きょう、町で開かれていたフランス食品市場に行ってきました。

フランスのブルターニュ地方から出店していた焼き菓子を買って、その場で食べました。

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会場のポスターは、くだけたカリグラフィというかレタリングというか、今風な感じのフォント。
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そういえば嘉瑞工房の組版・印刷によるカードでこういうのがあったな。これを取り出して眺めていたら、フランスをしっかり味わった気分になりました。

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嘉瑞工房の印刷物には、ヨーロッパのエスプリみたいなものがある。ちょっと前に、ドイツでまだ活版印刷機を毎日稼働させている博物館を訪ねたときに、そこで働いているベテランの組版工だった人や印刷の職人さんにや嘉瑞工房の印刷物を持って行ったら、組版のレベルや品質にビックリされた。自分が褒められているようでちょっと嬉しかったものです。

嘉瑞工房の組版は、きちんと合字を使います。わかりやすいように拡大します。この2行目、Excoffon (エクスコフォン)というこの書体のデザイナーの名前に、2つの f が1本の活字に鋳込まれた ff 合字が使われています。

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2つの f がそれぞれ違う形をしていて、合字のなかでも流れるような動きを出しています。前後の o と ff の合字もうまく連続して見えるのは、この活字のデザインのうまさです。ff 合字の右下に次の文字への導入部があるので、それで ffo がうまくつながっているように見えるわけです。同じ線が、次の行の単独の f にも入っているのでよくわかります。

そして印刷は、あの葉書大の印刷物をこれだけ拡大しても凹みらしい凹みがない。いわゆる「キッス・インプレッション」で、ぐいぐい紙に押しつけすぎないんです。これが良質の活版印刷印刷の証です。

合字の使い方も印刷の具合も、何気ないようでベテランの組版工や印刷工にしっかり見られていると思うんです。そういう目の肥えた人たちに手渡して恥ずかしくない印刷物です。






# by type_director | 2018-05-12 20:27 | 金属活字 | Comments(0)
Wiesbaden の文字
晴れて気持ちの良い5月6日朝、ヘッセン州の州都 Wiesbaden (ヴィースバーデン)に行って、ゆっくり町を一回りしてきました。そこで見てきた文字のなかから選りすぐって載せます。
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町の中心部にどんと構えるクアハウス。1905年から1907年にかけて建てられたそうです。金属で取り付けられていた大文字はローマの時代の面影はなく、19世紀末風のバランス。
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ベッカーブルンネンという建物のブラックレターが、なんか建物と合っていてかわいい。これもやっぱり19世紀から20世紀初めのブラックレターです。
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木組みの部分に「1906年建造」とレリーフ状に彫ってある。
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ローマ時代から栄えていた都であるという証に、ここで出土した石碑のレプリカが飾ってある。実物は博物館に保存してあると書いてありました。
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こういう橋も架かっています。古代ローマっぽさの演出ですが、橋に刻まれた文字を読むと建造は1902年と書いてある。
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律儀に、本来「U」で綴るべきところを「V」にしている。
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ローマの時代には「U」の字はまだできていなかったので、その時代を演出したいときの定石の手法です。







# by type_director | 2018-05-07 19:44 | Comments(0)
TypeTalks 第44回は、「ウェブ組版の現在ーウェブのタイポグラフィを検証する」

Typography13』刊行記念の第44回は、カワセ タケヒロさんをお招きして、ウェブのタイポグラフィについて語っていただきます。

2018519日(土)1800から。

詳細とお申し込みは こちら









# by type_director | 2018-04-24 12:53 | お知らせ | Comments(0)
路面電車博物館の文字

フランクフルト南部の Schwanheim という街にある路面電車の博物館、普段は閉じられている東倉庫がきょうは特別に公開されるというので来ました。10年以上前に一度来たことがあるけど、けっこう新鮮だった。

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これは常設展示の会場。

1872年から1903年まで、「電車」になる前の時代に使われていた、馬に引かれるタイプの車輌。

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文字のデザインがかなり斬新! 塗装が新しいので、塗り直したものだろうと思うけど、たぶん当時のデザインを忠実に再現しているんでしょう。

こちらは電車で1901年から1957年まで走っていた。中の「18座席」とか「禁煙」とかのプレートが、意外とセリフ書体だった。ドイツだから何でもかんでもブラックレターというわけではない。

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きょう特別に公開された東倉庫の中。


倉庫と本館の移動の間も、いろいろ目がとまる。

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この Grotesk 感がいいです。

ちなみに、鋳物のせいで小文字 i のドットと縦棒との間がわかりにくくなっていますが、ここに出てくる縦棒一本の字はすべて小文字 i で、l(エル)ではありません。


いろんな数字がある。共通しているのは、ただ数字を平面的に書くのでなく、影を付ける、というところ。しかも影は必ず右下に落ちる。

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この記事4枚目の馬車のアルファベットだって、立体の文字を斜め上から見ているふうに描いているけど、影そのものは右下に落ちている。

この影の方向については、アドリアン・フルティガーさんが本に書いていました。右下に影をつけると、正しく立体を再現しているように見えるのだ、と。逆の方向に影があるとなぜ正しく見えないのか、下なら、上なら? そういう細かいことまで全部わかりやすい図入りで説明してくれているありがたい本です。

その本に私が最初に出会ったのは英語版『Signs and Symbols』だったけど、その後フルティガーさんとの仕事のときに、ベルンの古本屋で原書ドイツ語版を見つけたので即買ってサインしていただいた。いまは、丁寧に訳された日本語版『図説 サインとシンボル』(研究社)があるから日本語でも読めるようになりました。その日本語版のページをめくってみたら、影と立体感のことは81ページに書いてあります。また読み返したくなった。



# by type_director | 2018-04-02 21:24 | Comments(0)
グドルン・ツァップさんの展覧会、ダルムシュタットで4月15日まで

今年1月に100歳の誕生日を迎えられ、いまもお元気のグドルン・ツァップ・フォン・ヘッセさんの小さな展覧会が彼女の住む街、ドイツのダルムシュタット市で4月15日まで開かれています。これがポスター。

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グドルンさんの100歳を祝って今年発売された Hesse Antiqua の使用例です!

この展覧会のことは、実はきのうグドルンさんのお宅にお邪魔してお茶をいただいていたときにはじめてうかがって、じゃあすぐに展覧会観てきます!といって行ってまたお宅に戻り、グドルンさんに感想をお伝えしました。

会場はダルムシュタット市中心部。ちょうど路面電車の軌道の工事中でちょっとごちゃごちゃしていますが、脇を見ると、芝生に咲いた白いクロッカスがようやくきた春の訪れを告げています。

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これは会場の建物。この「INTeF」(Institut für Neue Technische Form)という字が目印。

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展覧会場はコンパクトながらも展示の点数が多く、明るいので作品の細部をじっくり眺めるのには最適です。

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昨年のフランクフルトの展覧会ではお目にかかれなかった、グドルンさんの製本の工具も展示されています。

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長い棒の先に真鍮製の円盤がついた道具で金箔の罫線を本の表紙に入れる作業をしている若き日のグドルンさんの写真もあります。以前この作業についてグドルンさんご本人に伺いましたが、定規などはいっさい用いないそうです。

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開館時間:火曜から土曜までは 11:00 – 18:00、日曜は 11:00 – 13:00。入場無料。

場所: Institut für Neue Technische Form (INTeF), Friedensplatz 11, 64283 Darmstadt

ウェブサイトはこちら










# by type_director | 2018-03-25 15:07 | お知らせ | Comments(0)