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『欧文組版 タイポグラフィの基礎とマナー』増補改訂版
著者の髙岡昌生さんから、増補改訂版となって出たばかりの『欧文組版 タイポグラフィの基礎とマナー』が届きました。柔らかな薄クリーム色のカバー。
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わかりやすく、答えを導くように語りかけるような文章はそのままで、とても落ち着いて読むことができます。

今回の出版にあたって新しく加えられた「日本語版から英語版を作るさいの注意点」も、まさに時流に合っていて、日本語と英語の二か国語表記が爆発的に増えつつあるこの時代に必要な注意が書かれています。日英二か国語の会社案内やパンフレット等の制作に関わる人すべてに、この項目は必読です。

出版元の烏有書林は、2月にこの新項目の編集作業のことを「著者の伝えたいことが多すぎてカオス状態だったけど、なんとか整理がついてきた。でももう一山越えねば」と書いているくらいで、本当にいま必要なことが、何度も度も練りなおして簡潔にまとめられた状態でつまっています。

たくさんの人に繰り返し読んで欲しいです。






by type_director | 2019-07-14 14:01 | Comments(0)
多様性の時代の信号

月末にはベルリンに出張に行っていました。ベルリンの街の歩行者用信号で有名なのがこの帽子をかぶった人型 Ampelmann(アンペルマン)または Ampelmännchen (アンペルメンヒェン)で、土産物のモチーフになっているくらいです。

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週末にフランクフルトで見たのは、この Ampelpärchen(アンペルぺアーヒェン)つまりペアになった人型です。

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男性二人が肩を組んで、女性二人が手をつないで信号待ち。よく見ると女性のペアのそれぞれにはハート。

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青になったら男性同士が手を繋いで歩きます。ハートも出て、歩き方も楽しそうです。





by type_director | 2019-06-03 15:43 | Comments(2)
フランクフルトのレーマー広場近くで見た文字

週末に、フランクフルトのレーマー広場に行ってきました。見えている建物はフランクフルト市庁舎です。広場では、警察と消防のイベントをしていました。

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通りを入ってフランクフルト大聖堂に向かう途中の路地は長いこと工事中でした。工事中にも地下鉄駅に来てこの記事を書きました。

当時はまだ駅も未完成で、構内に工事用の資材などが置かれている状態でしたが、今回、駅も地上部分も新しくなっていました。新しいと言っても、レーマー広場や大聖堂に合った雰囲気です。

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Dom/Römer(ドーム/レーマー)地下鉄入口。

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この装飾、「U」は地下鉄、「D」は Dom =大聖堂、「R」は Römer =レーマーを意味していると思います。
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フランクフルト大聖堂。

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お店も立ち並んでいますが、あまり派手な装飾の看板は出さず、伝統的なスタイルの建築物に上手く調和しています。

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ここでロゴとして使われているフォントは Fette Gotisch(フェッテ・ゴーティッシュ)です。ドイツ語で「太いゴシック体」という意味です。ここで言う「ゴシック体」はこの手のいわゆる「ドイツ文字」のこと。なので、日本で言う「角ゴシック体」は「sans serif(サンセリフ)」と呼ぶと紛らわしくないです。

奥にある薬局もドイツ文字を使っています。

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by type_director | 2019-06-03 05:18 | Comments(0)
日帰りでフランスに買い物へ

中国からドイツに戻ってきて、ずっと雨か曇りの寒い日が続いていました。だいたい朝の気温8度、最高気温が13度でしたが、きょう晴れて暖かくなったのでフランスへ車で買い物に行ってきました。

花が咲いているのをドイツでこんなふうに凍えずに見ていられるのは今年初めて。後ろに木組みの建物が見えますが、ここはフランスです。

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ドイツとフランスとの国境。EUになってからは国境の検問・税関業務は廃止になったのですが、税関だった建物はこんなふうに残っていて、ここは博物館になっているようです。

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その旧税関の反対側にあった、フランスの道路の速度制限の標識。

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おおざっぱに市街地の制限時速50km、それ以外は時速 80km、高速道路は時速130kmというのがわかりやすく、数字以外の文字情報は入れずに表現しています。


フランスに行ったのは、スーパーマーケットでフランスの食料品をたくさん買いたかったから。スーパーマーケットの駐車場のサインが柔らかくほっこりするデザインでした。

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家族用の駐車スペースも、どこか気持ちが和むような。

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帰りは、買い物をしたフランスの町 Seltz からドイツへの最短距離ということで、ライン川を渡るフェリーに乗ってドイツに戻ります。15分くらい待って乗りました。

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フェリーは一度に車6台しか乗れないので、私たちの4台くらい後ろの車は待つのを諦めて引き返していました。

フェリーの上から船着場を見たところ。

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ドイツの時速制限はこうなってました。市街地でない場所のスピードが違うところがドイツらしい。

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もちろん細かいところを見れば市街地の絵柄や数字のデザインが違うことがわかりますが、基本的に同じことがらについての情報だと一目でわかります。

自分にご褒美でチョコレートも買いました。フランスに行ったらやっぱりチョコレート買わないと。

このラベルの書体の名前も、ずばり French Script です。

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by type_director | 2019-05-19 04:40 | Comments(0)
特別な展覧会

4月14日は、ドイツとフランスとの国境近くの Homburg という町のギャラリーで開かれた特別なカリグラフィーの展覧会の初日でした。前日に別の用事でフランスに行っていたので、オープニングのセレモニーには間に合いませんでしたが、フランスを6時間走ってとにかく初日のうちにたどりつきました。

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なにが特別かというとグドルン・ツァップ・フォン・ヘッセさん(101歳)とヘルムート・マタイスさん(101歳)との、カリグラフィーと書体デザインの両方の創作活動を同時に見られるという、すごい企画だからです。すぐ上の写真で使われているのは、グドルンさんの Hesse Antiqua です。

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グドルンさんの作品。

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先週、この展覧会に行ってきますとグドルンさんにもご挨拶に行ってきました。お庭の桜がちょうど散り始めで、風に舞う花びらを見ながらお茶をいただいてきました。

ヘルムート・マタイスさんは、ドイツの Ludwig & Mayer 鋳造所から活字書体 Charme (デジタル版はこちら)などを出している方で、実際にこの書体はドイツやヨーロッパでよく見かけます。活字の見本帳も展示されていました。

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私は不勉強で書体デザイナーとしてのマタイスさんしか知らなかったのですが、この展覧会でカリグラフィ作品の多いことに驚いて、企画をされたカタリーナ・ピーパーさんとハイナー・ミュラーさんに新しい発見でしたと感想をお伝えしました。

会期は5月26日までで、毎週日曜に開けるそうです。

オーナーのピーパーさんのこのギャラリー も素敵です。ご自身もカリグラファーであるピーパーさんの Stiftung Schriftkultur e.V. ホームページ では、このギャラリーに3月に行ってこの展覧会のことを私に教えてくれた日本のカリグラファー、白谷泉さんが写っています。

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(ここで使用した写真は、ピーパーさんに許可を受けて掲載しました)







by type_director | 2019-04-16 09:34 | Comments(0)
ローマ時代の出土品
私の町からちょっと離れたところにあるザールブルク博物館、古代ローマ時代のものが多く展示されています。

この小高い山の稜線に沿って最初の木造の要塞ができたのが西暦120年で、西暦200年ころまでには2000人のローマ兵が駐留するような大規模の城郭ができたそうです。その後すっかり忘れられ遺跡となった城郭の修復が始まったのが19世紀終わりです。2005年にユネスコ世界遺産にも登録されました。

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この盾は復元したもの。
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碑文もあります。西暦260年のものだそうで、アウグスブルク出土です。
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A の字の真ん中にある、S字状にまで変形した横棒が特徴的です。

この下の写真は、ローマの碑文の代表格ともいえるあのトラヤヌス記念柱の堂々とした文字と比べると柔らかくふわっとしています。
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生活の周りのものの出土品もあります。高さ25センチメートルくらいのこの壺には、「VALEAS(乾杯)」と書いてあるそうです。
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計量用の、石でできたおもり。「XXIIII」と刻んであって、24ローマポンド。Xを重ねたことでちょっと手間を省くことができた感もいい。下にあるのは2ポンドだそうです。
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ガラスの器のかけらに見える大文字 N 。私的には、左上の角にセリフがないのが萌えポイントでした。
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by type_director | 2019-03-30 13:51 | Comments(0)
単語の区切りかた

ドイツのデザイン雑誌『novum』がちょっと前に届きました。「Typography Special」号で、私のインタビュー記事も載っています。

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英語でもドイツ語でもフランス語でも、文章を組むときに、単語の途中で改行する必要が出てくることがあります。そのときにどこで切っていいのか決まりがあって、たとえば「typography」という英単語ならば「ty·pog·ra·phy」の点のある3箇所のうちどこかで切って良いことになります。つまりここでは、表紙だからかハイフンは省略されていますが、改行はちゃんと英語のルールに従っているわけです。

改行して良い位置は、かりに似たような単語でも言語によって若干違うことがあります。ドイツ語のオンライン辞書では「Typografie」は「Ty·po·gra·fie」なのでちょっと違います。その言語の辞書を引いてみることをおすすめします。


(この記事では、英語はオンライン辞書 www.merriam-webster.comを、ドイツ語は www.duden.deを参考にしています。)


by type_director | 2019-03-24 18:13 | Comments(0)
香港の看板の文字スタイル「北魏楷書」についての本

先週、香港に行っていました。前にこの記事 で書いた香港の独特の看板の文字スタイル、「北魏(ベイウェイ)楷書」、それについての新しい本が2冊、昨年のTDC賞コンペティションに出されていて、審査員として私は中をじっくり見ていました。なので、香港出張の時には絶対買うぞ!と思って本屋さんに行きました。

本屋さんでこの一冊ゲット。

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もう一冊は非売品だったのですが、私の熱意が通じてデザイナーが送ってくださいました!

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街の中を歩き回ったときにも北魏楷書コレクションしてきました。

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by type_director | 2019-02-23 10:18 | Comments(0)
チョコレートの文字
ドイツのスーパーマーケットでは、お祝い用のケーキなどに乗せるためのチョコレート文字があります。
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パッケージを開けると、こんな薄手のプラスチックのトレイが出てきます。数字は一回り大きめです。ウムラウト(ÄÖÜの文字の上のアクセント記号)もついています。
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トレイの裏の方からチョコレートを押し出します。
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いろんな書体があります。これは VAG Rounded っぽい。
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こんなのもある。
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by type_director | 2019-02-03 16:14 | Comments(0)
ルドルフ・コッホとツァップさんご夫妻とのつながり
今月初めに101歳のお誕生日をお迎えになったグドルン・ツァップ・フォン・ヘッセさんのお宅に、明るい黄色の花束を持ってお祝いの言葉を述べてきました。
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グドルンさんが、いつも通りいそいそと勧めてくださる美味しいお茶とケーキが楽しみです。

ドイツはこの日、二ヶ月ぶりくらいに晴れ渡って午後になっても氷点下、いつも以上にそのお茶が美味しい。グドルンさんがおっしゃるには「ダルムシュタットは、水が良いのよ」。ケーキは必ず二つ以上いただきます。今回うかがったのが1月18日、髙岡重蔵先生がご存命だったら98歳のお誕生日だったので、二つ目のケーキは重蔵先生のぶんと思って味わいました。

最近、ルドルフ・コッホ(Rudolf Koch、1876–1934)の本を古本でいろいろ買ってながめていて、わからないところがたくさんあったのでグドルンさんに質問してきました。

たとえば、この本『Das ABC Büchlein』(ABCの小冊子)のなかのこの字は書き文字の種類としては Sütterlinschrift なのか、それとも deutsche Schreibschrift なのか、とか。これは deutsche Schreibschrift で、グドルンさんが学校で習ったのはこれではない、などなどお話をしていただきました。
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コッホの本は、他にもこの切り絵の本がすばらしい。私の持っているのは1940年前後に発行されたものです。中身は同じ。本の表紙は出版年によって違って、私の知っているのはこの二種類があります。
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1915年前後に、コッホが自分の一家の生活の様子を切り絵にしたもので、4人の子供たち(兄パウルと3人の娘たち)の何気ない日常の一瞬が収められています。そして、日常の生活のページのところどころに、庭の風景が挟まれます。
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庭先や道ばたに普通に生えている、いわゆる「雑草」をコッホはこよなく愛し、それを木版画にまとめた本もあるくらい、コッホの雑草を見つめるまなざしは温かく、そしてコッホの手を通して切り絵になった雑草のたたずまいの美しさには、ため息が出ます。

コッホの本に出会って、それとエドワード・ジョンストンの本の二冊をお手本にカリグラフィを始めた、というのは、知り合う前のグドルンさんもヘルマン・ツァップさんも同じですが、お二人ともルドルフ・コッホさんに直接お目にかかったことはなかったそうです。コッホが1934年4月に亡くなったときは、1918年生まれのグドルンさん16歳、ヘルマンさんも15歳でした。

でも、その数年後、当時はまだ無名のヘルマン・ツァップさんはルドルフ・コッホの息子パウル・コッホの工房で働き始めます。当時、ヘルマンさんは市電の乗車券の料金を節約するために4キロメートル以上の道のりを歩いて工房に通ったそうです。しかし、パウル・コッホは、音符についての小冊子を1939年に出したところで兵役にとられてしまいます。

これはその冊子の第二版。1953年の出版です。
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1953年のこの第二版には、「パウル・コッホは戦争から戻らなかった。彼の友人、フランクフルトのヘルマン・ツァップがこの第二版を彼のために出す。」と書かれています。

本文に使われているのはルドルフ・コッホの活字書体 Jessen で、音符や歌詞はヘルマン・ツァップさんが書いています。
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ルドルフ・コッホの切り絵の小さな本の中で、3人の妹たちが乗っかった小さな荷車を前のめりになってぐいと引っ張っている子供のパウルくんが、私の知っているパウル・コッホの姿です。そしてそのパウルくんは、ヘルマン・ツァップさんに大きな影響を与えたあと戦争にかり出されて1945年に亡くなってしまいました。

グドルンさんもヘルマンさんも、お話をうかがっていると戦争をとても悲惨なことと考えているのがわかります。こうしたつながりをたどってみて、戦争でどんなにたくさんの大きなものが失われたのか、呆然とするよりほかありません。








by type_director | 2019-01-21 20:49 | Comments(0)