現在連載中の雑誌『デザインの現場』で、「欧文書体のつくりかた」6月号の数字のデザインについての原稿をおととい書き終えました。そうしたらすぐに編集部の宮後さん(こちらの
オフィシャルブログ を書かれている方)から質問がありました。
「たとえば、数字の1は書体によって、大文字Iみたいに一本線のものや、 頭と足にセリフがついたものがありますが、 どっちのデザインにするかは何で決まるのでしょうか?」
じつに良い質問です。サンセリフ体の1の脚にセリフが付いていても、別におかしくはないけど、たしかにまったくの縦棒の1もあります。これは Gill Sans(ギル・サンズ)です。
国によって「かきかた」とかで教えている数字が違うとか、郵便番号に使う数字とかが違うのも同時になんとなく感じていますが。アメリカと日本は郵便番号の見本になっているのは1は縦棒のみですよね。
これはロンドンで。フリルひらひらみたいなのポンド記号の右隣に、なんか味気ない縦棒のみの1。飾りをつけようと思わなかったのか?
ドイツだと、1の左上のくちばしが非常に長かったり、そうすると7にどんどん近づくからか、7に横棒を入れたりします。また0(ゼロ)は一筆で書いたあとにてっぺんから右方向に伸びる線とかが入ります。こんなふうに。
うちの子供が行っている現地小学校でもそういう0の書き方を指導しています。しかし一般的な印刷物ではそういう0の書き方をしない。つまり書き文字と印刷用の文字とをどこかで器用に使い分けているみたいで、別にそれで不便は感じません。
ちなみにこのジャムはフランス製です。フランスでもこのデザインの数字なのか、ちょっと気になります。
そういう「書き文字」に見られる特殊な字形は、あんまり書体デザインに採用されないんですが、採用された例を最近私が関わったプロジェクトから。
Zapfino(ツァプフィーノ)という書体が Mac OS X 以降に搭載されていますが、ゼロが2種類入っています。私はこれをツァップさんといっしょにつくっていたのでよく知っているんです。
DIN Next(ディン・ネクスト)は、ドイツの高速道路などに使われているドイツ工業規格の文字をベースに現代的なデザイン処理を施したライノタイプの新書体です。1と7,その他にも6と9に2種類の形があります。
DIN Next は、うちのこれまでの「ネクスト」書体の中でもっとも短期間で売り上げを伸ばしているそうです。この丸いバリエーションもおすすめです。