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書体は特定の国の雰囲気を持ってるの? その1 Bodoni, Caslon など
いくつかまとめて、ちょっと長い話を書きます。日本のデザイナーの皆さんに、ぜひ最初に知っておいてほしいんです。

日本でよく聞かれる噂話ですが、「Bodoni(ボドニ)はイタリア、Caslon(カスロン)はイギリス、Helvetica(ヘルベチカ)はスイスで生まれた書体だからその国で使うもの」なんてことは決してありません。その辺のことをドイツ人の友達と話したら、結局「タイポグラフィはそんなに簡単じゃない!(笑)」というところに落ち着きました。イタリアの人がつくった書体はイタリアのイメージのはずだ、と考えるのは単純すぎるんです。

私はワインに詳しくありませんが、詳しい人になると「イタリア料理にはイタリアのワインが合う」なんて大ざっぱなことは言わないでしょう? 料理が肉だろうが魚だろうが、イタリアのワインだったら赤でも白でも、辛口でもなんでもいいなんて。

だから、書体を選ぶ際に産地じゃなくてその書体の性格で選ぶのは全然問題ないんです。「かわいい」とか「なんとなくおしゃれ」「力強い」という感じで、形からくるイメージでいいじゃないですか。少なくとも大間違いではない。ちょっと例を見てみましょう。

イタリアのファッション雑誌。使われているのは Bodoni ではなく、 H&FJ Didot(ディド)。つまり、フランス人ディドがつくった 1800 年前後の活字を元に、アメリカのデザイナーが現代的な感覚でデジタル化したものです。
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イタリア人ボドニがつくった、やはり 1800 年前後の活字に忠実にデジタル化した ITC Bodoni を使って優雅さを出しているドイツのファッション雑誌。
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イギリス人のカスロンが 18 世紀につくった活字をベースにした Caslon を使って、ちょっとクセのあるエレガンスを表現したフランスのファッション雑誌。
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by type_director | 2009-03-16 03:52 | 書体が特定の国の雰囲気? | Comments(0)