前回の記事は写植でしたが、今回は活字です。
1989年から90年にかけて私がロンドンで勉強していたころ、参考にしていた本は活版印刷のものが多かったと思います。
なので金属活字には愛着があって、イギリスでも鋳造の現場を見てきたことがあります。昔の写真を引っ張り出してきて、この記事 と この記事 で書きました。
ドイツでも鋳込んでいるところがあって、この記事 でも書いてます。昨年6月にも行きました。
そして、ここ数日間で日本の金属活字関係も見てきました。「市谷の杜 本と活字館」では、「活字の種を作った人々」という企画展が開かれていて、金属活字の元になる種字(たねじ)や鋳込むときに使う母型(ぼけい)の実物が見られます。
そしてきょうは、10月に 本づくりハウスのイベント で見本帳だけ買っておいた 築地活字 にも行ってきました。京急の南太田駅から歩いて数分です。
中では活字を鋳込んでいるところを見せていただきました。社長の平工(ひらく)さんにうかがったところ、欧文活字で注文の多い書体が Piranesi で、その用途は印刷ではなく、レザークラフトで刻印するためだそうです。なるほど、この書体ならちょっと特別な感じが出るし、少し右に傾いたスクリプト体だけど活字ボディは垂直だから扱いやすそう。
母型を作ってもらうこともできるそうで、ということは、21世紀のいまでも金属活字を母型から作って鋳込むことが可能なわけです。ちょっと自分のオリジナル活字制作、考えてみようという気になりました。