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ゴナIN(インライン)が使われていた

集英社マンガアートヘリテージに行ってきました。

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この ギャラリーでは、マンガ『One Piece』の1ページを活版印刷したものが展示されていて、奥のスペースでは版の実物が見られます。

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活字鋳造から印刷しているところまでの工程を短く収めたビデオも上映されていて、嘉瑞工房の高岡昌生氏の手元と横顔も映ります。これは活字を組み終わって最後に「セッテン」と呼ばれる薄い金属板を入れるところ。左手に持っている「ステッキ」から下に置いてある「ゲラ」に移動させるときに、活字の塊をステッキの最初に置いたセッテンと最後のセッテンの2枚で挟んで崩さずにずらすわけです。

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そして、その印刷したページのフキダシに使われていたのが、ゴナのファミリーのひとつ、ゴナIN(インライン)です。写植書体です。私は1980年台に写研にいてこの書体の制作に関わっていました。連日残業をして(昭和の時代の話です)さんざん苦労したのを覚えている身としては、ここで使われているのを見てちょっと嬉しかった。これまで、使われているところをを見たことがほとんどなかったので。

これは、極太の角ゴシック体ゴナUをベースにして中に線を入れたものです。ゴナUという書体は、どんなに混み合った文字でも、太い線どうしをギリギリまで重ねることで文字をひとつの塊にして安定感のある文字になっていた。

ゴナINは、インラインの白い線があるので、これが一画一画のいわば「芯」の部分をハッキリさせてしまうのが難しい。それを「槍」の木ヘンの部分ではうまくバランスをとっています。外側の黒い輪郭の一画一画の中心を正直にインラインにしてしまうと木の左右の斜め線がずっと下がってしまうはずですが、「木」に見えるように、左右の斜め線の白いインライン部分はわざと中心を外して上の方にずらしている。

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でもここにある「槍」の字の「倉」部分のような場合は、作業のときにいつも悩んだけれどそういう調整が無理です。なので、白いインライン部分だけを見ると「口」が右にずれて見える気がするなー。それでも、芯の曲線はしっかりと張りを保っているのは写研のクオリティです。「光」の最後のまげはねのところとか、カタカナの曲線とか。


太いゴシック体の「倉」の字って「口」の置き方が難しいです。できるだけ左右の中心に置きたい。

こんなふうになるとやっぱり落ち着かない。

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by type_director | 2024-02-04 08:04 | Comments(0)