ロシアのウクライナへの侵攻がはじまって1ヶ月が過ぎました。テレビやオンライン版新聞のニュース報道などで、車体正面に「Z」と書かれたロシアの戦車や軍用車輌が目立つようになってきました。
ロシアに対する反感が強まっている一方で、ごく一部にはそのロシアの政策に共感する人たちもいるらしく、ドイツの一部の州では、ロシア側への同調の表明として「Z」の文字をシンボル的に掲げることは刑罰の対象になる、というのが きょうの記事 になっていました。
別の こちらの記事 では、有名なチューリヒ生命保険会社も、大きく「Z」一文字が丸の中に収まったロゴの使用をやめたと書いています。
この戦争が、アルファベットの文字に残念な意味を付け加えてしまい、一文字で大きく使うことがためらわれる空気をつくっているように思います。とても残念です。
私は、個人的には「Z」の字には思い入れがあります。私がいっしょに仕事をしていたときにいただいたヘルマン・ツァップさんのサインの多くが「Z」だからです。
ツァップさんは作品やポスターに直筆のサインをするとき、フルネームで書くことがほとんどでしたが、仕事のときの確認のサインなどちょっとしたところにサッと書くときはずっと以前から「Z」一文字でした。これは1950年ころ、グドルン・ツァップさんのデザインした金属活字書体 Diotima に当時のステンペル社のアートディレクターだったヘルマン・ツァップさんが指示を入れた時の「Z」。
2015年にツァップさんが亡くなられて7年になろうとしていますが、ツァップさんがもしご存命だったら、どんな気持ちでこのニュースをご覧になっただろうかと思います。