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欧文組版のマナー実例: ダーシはハイフンと違う(3)

前に、「ダーシはハイフンと違う」の(2)にいただいたご質問に対して、回答をふたつしました。

回答1:en dash (半角ダーシ)と em dash(全角ダーシ)の使い分けについては、以下のヨースト・ホフリ著『ディテール・イン・タイポグラフィ』の説明が簡潔でわかりやすいので引用します。

en ダーシは、フレーズどうしがつながっていることや省略を示すのに使われたり、挿入節に用いられたりする。なお、一部の英語組版の慣習、特にオックスフォード大学出版局のルールやアメリカ英語一般においては、em ダーシ(ただし前後にスペースは挿入しない)を用いることが標準とみなされる。」(40ページ)

ここで例に挙げた『Printing Types』は、オックスフォード大学出版局の本で、アメリカで出版されています。出版社のハウスルールなどによって違いがあるかもしれません。

回答2;ホフリさんの本のドイツ語版には、em ダーシは今日のドイツ語の組版ではほとんど使われない、と書いてありますから、言語によってはダーシの使われ方に差があることもわかりました。(以下略)


下は、Tor Nørretranders 著『The User Illusion: Cutting Consciousness Down to Size』です。補足説明の em ダーシをスペースなしで使っていますが、ペンギン・ブックスのペーパーバック版です。書体は ITC New Baskerville です。

欧文組版のマナー実例: ダーシはハイフンと違う(3)_e0175918_03545002.jpg

これまで、ハイフンとダーシの違いの例を見せるとき、おもにダーシの方に注目してきましたが、ここでハイフンのほうもみてみましょう。

章の始まり「E-n-t-i-t-y」をハイフンで区切っていますが、これもハイフンの使い方のひとつです。これは、わざと一文字ずつ読ませようとしているのです。日本語だったらこういう場合は中黒(なかぐろ、・)を使って区切りたいところです。

日本語版(トール・ノーレットランダーシュ著『ユーザーイリュージョン:意識という幻想』)では、「ま・と・ま・り」となっていました。

この文章の内容について、この次に別の記事を書きます。



by type_director | 2020-06-29 04:11 | 欧文組版のマナー実例 | Comments(0)