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路面電車博物館の文字

フランクフルト南部の Schwanheim という街にある路面電車の博物館、普段は閉じられている東倉庫がきょうは特別に公開されるというので来ました。10年以上前に一度来たことがあるけど、けっこう新鮮だった。

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これは常設展示の会場。

1872年から1903年まで、「電車」になる前の時代に使われていた、馬に引かれるタイプの車輌。

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文字のデザインがかなり斬新! 塗装が新しいので、塗り直したものだろうと思うけど、たぶん当時のデザインを忠実に再現しているんでしょう。

こちらは電車で1901年から1957年まで走っていた。中の「18座席」とか「禁煙」とかのプレートが、意外とセリフ書体だった。ドイツだから何でもかんでもブラックレターというわけではない。

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きょう特別に公開された東倉庫の中。


倉庫と本館の移動の間も、いろいろ目がとまる。

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この Grotesk 感がいいです。

ちなみに、鋳物のせいで小文字 i のドットと縦棒との間がわかりにくくなっていますが、ここに出てくる縦棒一本の字はすべて小文字 i で、l(エル)ではありません。


いろんな数字がある。共通しているのは、ただ数字を平面的に書くのでなく、影を付ける、というところ。しかも影は必ず右下に落ちる。

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この記事4枚目の馬車のアルファベットだって、立体の文字を斜め上から見ているふうに描いているけど、影そのものは右下に落ちている。

この影の方向については、アドリアン・フルティガーさんが本に書いていました。右下に影をつけると、正しく立体を再現しているように見えるのだ、と。逆の方向に影があるとなぜ正しく見えないのか、下なら、上なら? そういう細かいことまで全部わかりやすい図入りで説明してくれているありがたい本です。

その本に私が最初に出会ったのは英語版『Signs and Symbols』だったけど、その後フルティガーさんとの仕事のときに、ベルンの古本屋で原書ドイツ語版を見つけたので即買ってサインしていただいた。いまは、丁寧に訳された日本語版『図説 サインとシンボル』(研究社)があるから日本語でも読めるようになりました。その日本語版のページをめくってみたら、影と立体感のことは81ページに書いてあります。また読み返したくなった。



by type_director | 2018-04-02 21:24 | Comments(0)