ドイツの Idstein という町の教会の壁に埋め込まれていた銘板。
近寄ってみたら、その教会の中にはルーベンスの弟子によって描かれた壁画と天井画があるらしく、その説明でした。中は修復工事中で入ることができませんでした。
碑文を読んでいて、なるほどー、と思った部分。
こう書いてあります。
Wand- und Dek-
kenbilder
もし、これがハイフンで切られていなければ、Wand- und Deckenbilder (壁画と天井画)という綴りになっていたはず。
Decken つまり天井をハイフンで切るときは、Deck-en というところで切るのでなく、ck の真ん中で切って c を k に変えて k-k とします。
別の行では、このように Deckengemälde (天井画)と書かれている。切らない場合は普通に ck で良いわけです。
12月27日追記:
現在の辞書などで同じ単語を調べると、 De-cken-ge-mäl-de と切るようになっています。ck の入った単語を切るときに k-k とするのは、
こちら を参考にすると最新の1998年の正書法改訂以前の切り方だそうです。
しかし、この分け方についてはときどき論争の対象となっているようです。Deckenbilder / Deckengemälde で例えると、 De-cken- のように切った場合、切る前の母音を長く伸ばして「デー」とするのか短く「デッ」とするのか次の行に行くまでハッキリしないので合理的でないという意見もあります。
このTypografie.infoのやりとり を参考にすると、1795年のドイツ語の文法の本『Deutsche Sprachlehre für Schulen』では「wa-cker」という例を出して ck を分けないようにしているけれど、1880年の Duden 『Vollständiges orthographisches Wörterbuch der deutschen Sprache』でも、1902年の Duden 『Orthographisches Wörterbuch der deutschen Sprache』でも hak-ken (ck wird in kk aufgelöst) のような例を出して k-k とすることになっていました。