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ニューヨーク・グランドセントラル駅の100周年ロゴ
東京駅は百周年だそうですが、昨年百周年を迎えた姉妹駅のニューヨーク・グランドセントラル駅の記念ロゴ(こちら)がかっこいい。

デザインはペンタグラムのマイケル・ビェルートのチームだそうです。マイケル・ビェルートさんといえば、あの映画『ヘルベチカ』でインタビューに答えていた人だ。コカコーラの広告のキャッチフレーズに使われたヘルベチカの例で、書体の持つチカラを見事に解説していた。

たぶんロゴもそうだけど、招待状に使われているのは Avenir Next (アベニール・ネクスト)です。

百周年記念ロゴは大文字でゆったりと組んである。その「100 YEARS」部分に近づけるように Avenir Next を使って色もそれっぽく組んでみました。ぴったり同じかどうかはともかく。

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その「00」の部分に注目です。
これは数字ゼロでなく、大文字オーです。でも、ぱっと見せられて、十人中十人が「百」のことだと思う。うまいですね。

下のがゼロを使って組んだもの。こんだけゆったり組んだ大文字の中に数字のゼロを混ぜると、ゼロだけゆったり感がないもんだから、空間のリズムが取れないんです。

ニューヨーク・グランドセントラル駅の100周年ロゴ_e0175918_23282215.jpg


とくに Avenir は、大文字がゆったりしているのに対して数字がコンパクトにまとまっている。数字 0123456789 の中でも、ゼロは狭い中に押し込めるとすごくちっちゃく見えてしまいがちな文字です。それを大文字オーで置き換えることで、全体のゆったり感を出すことができる。そして左右の幅も広がるから時計も含めた記念ロゴの重さをしっかり支えることができる。

日本では「大文字のロゴの中に小文字が一文字混ざっているけどいいのか」みたいな質問を受けることがありますが、ぱっと見てそれが気にならずに読めれば良いんです。もちろん、どこまでを「ぱっと見て」読める、と判断するかどうかは経験が必要です。

書体も、これが Avenir だからうまくいくけど、別の書体でもオーがゼロの代わりになるかと言ったら、必ずしもそうじゃない。また、同じ Avenir でも、字間をゆったり空けない場合はオーだと間延びするかもしれない。そこは、デザイナーが頭でなくて「目」で判断するところだと思います。
by type_director | 2014-12-23 14:18 | Comments(0)