スペインでは、LL で始まる単語をよく見かけました。
英語では、LL で始まる単語は見ない気がする。いま思いつくのは、昔の無声映画のスターの名前、Harold Lloyd くらい。ドイツ語にもないと思う。
バルセロナではカタルーニャ語が使われているので、その LL/ll とは別に、二つのエルの間にドットが入った書き方をする単語もある。ドットのない場合とある場合とで発音が違って、ドットのない場合は「パエージャ」の「ジ」みたいな発音になるらしい。
どちらもバルセロナ市内で撮った、二つのエルの間にドットが入った写真2点です。
これは ATypI コンファレンス会場にもなった美術館。
これはメトロの駅の名前。
この「l·l (エル・エル)」についてのプレゼンテーションが ATypI コンファレンスでありました。いまの標準的なフォントにはいちおう「Ldot」「ldot」という、エルの右にドットがついた記号があって私も必ずつくっているので聴きました。
金属活字時代には、「l·l」合字があり、タイプライター時代にはエルとドットだけのキーボードもあったようです。
プレゼンテーションでは、エル・エルのいろんな間違った表記の例とかを出していた。記号の出し方が分からずにピリオドをそのまま下の位置のままで使っていたり、ハイフンとかブレット(項目の頭につける大きい黒丸)で代用しているのとかもあったりして、そういうのは論外です。
エル同士の距離も、エル2つがなるべく近い方が良いといっていました。私はどこかでそれを聞いて知っていたので、そうやってつくっています。
他ならぬバルセロナ市内の例なのに、上の写真の例では、両方ともエルが離れすぎに見えます。あと、上のはもっとドットを小さくしたほうがいいだろうし、下のメトロのはドットをもう少し上にずらしたいけど、この低さからいって「periodcentered」という記号で代用したのかもしれません。「periodcentered」は、小文字 e などの上下中心につくられた記号で、辞書などでは、単語の分綴(ぶんてつ:文末に来た単語を特定の位置で区切って分けること)の場所を示すのに使うものです。なので、メトロのも「l·l」の理想的な見え方ではないです。
プレゼンテーションでは、「Ldot」「ldot」を使うと検索機能などに悪影響が出るから避けてほしい、「l·l」合字のほうを標準化させるよう働きかけている、ということでした。それは知らなかった。
活字の「エル・エル」合字が見られるサイトは
こちら 。プレゼンテーションした人も、このサイトの関係者です。カタルーニャ語のみ。