マイヤーさんが7月の中旬に亡くなられました。
2回お目にかかったことがあります。1度目は2000年のライノタイプ社のイベントで、その時はこの
Linotype Syntax (ライノタイプ・シンタックス)が発売されたばかりで、ポスターにサインをしてくださいとドキドキしながらお願いしました。喜んで引き受けてくださいました。
2度目は、ハイデルベルクでのライノタイプのイベントの時で、イベント会場からホテルまでの帰り道をツァップさんとマイヤーさんと私の3人でゆっくりとしゃべりながら歩いて帰りました。その時に、1960年代の活字の Syntax の開発の時の話をうかがうことができました。
今から見れば、ヒューマニスト・サンセリフ体の先駆けという思い切ったデザインで時代の先を行っていたわけですが、当時はステンペル社の上部からは「親無し子」だとかさんざんに言われていたそうです。サンセリフ体はガッチリしていなければいけない、というような思い込みがあったのでしょうか。
こないだ行ったブリティッシュ・ライブラリーで、その Syntax を全面的に使っているのを見つけたので、ブログに載せようと思って、パンフレットと館内の案内図を持って帰っていました。その時は亡くなっていたとは知らず、良い書体が上手に使われている例は紹介したいなと思ったわけです。ブリティッシュ・ライブラリーのロゴは、 Syntax にすこーし手を加えています。
ここで使われているのは、Syntax 旧バージョンのほうです。M の開き方がややおとなしいほうが旧バージョン。
Syntax / Linotype Syntax の縦画は垂直ではありません。微妙に右に傾いています。それに気づく人はほとんどいないでしょうが、それがなぜか動きを感じさせるのです。カリグラファーとしても有名なマイヤーさんだから、その効果がわかっていたのでしょう。
こんなにすごい書体をつくってくれたマイヤーさん、ありがとうございます。合掌。