浅葉克己先生が、ドイツ北東部のデッサウにあるバウハウス校舎でご自身の
ポスター展 のレセプションに出席されると聞いたので、7月16日と17日にデッサウまで行ってきました。
一泊二日、アウトバーンを車で往復9時間の長旅でしたが、行ったかいがありました。いつも文字に対する情熱いっぱいの浅葉先生に家族4人とも挨拶に行って握手していただき、先生のあふれる元気を分けてもらいました。
これはバウハウス校舎です。
この壁に取り付けられた有名な「BAUHAUS」の文字って、ながめていると、うまく考えられているなーって気がする。もともとは、直線と円弧という単純なエレメントの構成にしたかったからなのかもしれないけど、書体デザインの点から見てもけっこうイイ。
まず B S 以外は線対称だし、 B S も縦に組んで安定するようにデザインの工夫がされている。A を斜め線を使わずに丸いてっぺんにしたのは、H の下に来たときにスペースが空きすぎに見えないという利点がある。
これはグロピウスの弟子のフィーガーの設計になるコルンハウス・レストラン(2012年7月現在は使われていない)。
赤い「KORNHAUS」の文字は新しいからオリジナルのものでないみたいですが、これも縦組み。K がちょっとキビシイか。文字の左右にある太い縦線のおかげで、かろうじて全体的に安定して見える。S が柔らかすぎるかな。「BAUHAUS」の S のほうが収まりが良いと思うけど。
これは、上の KORNHAUS から車で3分くらいの所にある建物。「デッサウだし、他のバウハウス建築にならって縦組みにしなきゃ」って思ったんでしょうか。
ここまでくると、うーんどうだろう。ひとつひとつの文字のデザインそのものは悪くないのに、並べ方ですっごく居心地悪く見えてしまう例だと思います。
アルファベットは、もともとは横組みで読むようにつくられているわけだから縦組みはどうしても無理がある。左右対称の文字ばかりの単語なら縦に組んでもどうにかバランス取れるかもしれないけど、 L が入ると、とたんに難しくなる。A だって三角なのは普通なんだけど、縦組の場合はやっぱり安定しないし、アキが目立ってしまう。
やっぱり「BAUHAUS」の文字の安定感は、真似ようとしてもちょっとやそっとじゃたどり着けないんじゃないか。