ライン川沿いの観光の名所リューデスハイムの「Drosselgasse(つぐみ横町)」。
日本から来た親戚といっしょに観光でドイツの町を歩いていても、やっぱり文字に目が行きます。
小文字の s が縦長になっている、いわゆる「長い s 」なので、ドイツ文字に不慣れな人にとってはエルだかなんだかわからない。これは昔からのドイツ文字の独特の字形です。
これなんか、「Alte Bauernschänke」って書いてある。A と B が赤で書いてあったのが褪色したみたいで、そのせいで読みにくいってのもあるんですが、小文字の s が縦棒一本です。「長い s 」でこういう形は珍しい。
アスマンズハウゼンで。ドイツ文字の小文字の s は必ず「長い s 」になるわけではなく、この一行目の「Aßmannshäuser」の h の左の s は「丸い s 」と呼ばれる、見慣れた形に近い s です。「長い s 」と「丸い s 」をどこで使うか決まりがある。
ドイツ語の「ß」の文字、一般的には「エスツェット」とか「鋭い s 」とか呼ばれてます。「エスツェット」つまり「sz」じゃないか、という人もいたりしてドイツ人の中でも意見が分かれるみたいですが、簡単に言っちゃうと発音的には「ss」です。
この形を見ると
「長い s 」+「丸い s 」=「ss」
という理屈が分かる気がしませんか?
この看板、「Antik」の k なんかもドイツの独特の字形。私の本『フォントのふしぎ』にも、この k のことがちょっと出てきます。