街を歩いていて見かけた、サッカーのアイントラハト・フランクフルトのチームロゴのステッカー。
これ、こんだけ短いのに二つ間違いが。ドイツのチームなのにドイツ文字の使い方がおかしい! 4月1日に投稿したから、「冗談でしょ」って思われそうですが、本当なんです!
まず、最初の間違い。「アイントラハト」のほうは、c と h をばらばらに組んでいますが、本当は c-h 合字を使うんです。まあ、今はそんなに気にする人もいないんでしょう。でも、本当のドイツ語組版では合字を使うのが決まりです。
こういうのを見ると、私の友達だった組版工のおじいさんゲオルクが亡くなる前に街を歩いて店の看板などを見ながら私に何回も「ここでも c-h 合字を使っていない!まったく困ったもんだ」みたいな愚痴をこぼしていたのを思い出します。
二つ目の間違いは、ロゴの右側。「フランクフルト(Frankfurt)」でなくて、「フランツフルト(Frantzfurt)」になってます。k の入る場所に、間違って t-z 合字を使っちゃってます。 c-h 合字には目をつぶるとしても、これはダメでしょー。
この上段は合字でなくてバラで打ったもの、下段はちゃんとデザインされた合字です。
最近は OpenType 化が進んで、テキストを入力するか流し込むだけで自動的に合字になったりする機能が使えますが、ちょっと前の時代にはフォントのどこかに入っている合字を探して見た目で字を並べていくやりかただったので、こういう間違いも起きやすかった。
たぶん、こういうふうにしたかったんだよね。
フォントは、格調高い
Wilhelm Klingspor Gotisch (ウィルヘルム・クリングシュポール・ゴティッシュ)です。でも、欲を言えば、k も昔のドイツの k を使ってほしい。ゲオルクならそう言ったと思う。
この活字見本の「zurückhaltenden」の c-k 合字は、伝統的なドイツのブラックレターの k です。ちなみに、右下に見える「Sch」でも、c-h 合字を使ってますね。