もう一冊のカリグラフィー教本、Veiko Kespersaks さん著『Calligraphy in 24 Hours』について。日本のアマゾンのサイトで探したら、この写真の左の表紙とデザインが違うんですが、内容はほぼ同じです。

私のはイギリス版で、日本で入手できるのはアメリカ版だから英語が多少違うんだそうです。
この本も初心者向けで、道具の解説や使い方などはもちろん、平ペンを使ったイタリック体とか基本的な書体について解説があります。あと、スペースの取り方とかも大事なんですが、丁寧な説明があります。
この本のすごいところは、細いスクリプト体やそれにスワッシュをつけた飾り文字とかの部分でかなり丁寧な説明がある点です。160ページの本のうち、カッパープレート・スクリプト体とスペンサリアン体を合わせると約30ページ弱で、本の目次とか索引とかを除いた内容の5分の1を占めています。これって、他のカリグラフィ教本と比べてけっこう多い。

カッパープレート・スクリプト体は、ちょっと特殊な書き方をするので、この本みたいにお手本が細かく書かれていると分かり易い。運筆の方向も示してあるから、「あ、これ、こっちから書くんだ!」というのがよくわかって面白い。手本も、曲線がすっごくキレイです。
日本のグラフィックデザイナーにこういうところを見てもらったらいいな、という点がいくつもあります。フローリッシュ(文字につける曲線状の飾り)をつけたいんだけど、どうやっていいか分かんなくて適当に処理してるロゴやポスターを見かけるたびに、こういう本を見てよ!って思います。自分でここまで書けなくても、こういう良い見本が手元にあると参考になりますよ。
本の後半、だんだんレベルが上がってきたところで、日本のカリグラファー橋口恵美子さん登場!
フォーマルな結婚式の招待状の書き方を、たっぷり3ページ、流れるようなスクリプト体とオーナメントで見せてくれます。この招待状のレイアウトも参考になるかも。橋口さんは現在もロンドン郊外に住んで、このような手書きの招待状をフルテキストで書くような仕事を受けているバリバリの現役カリグラファーです。
一つ前の記事で紹介した三戸さんの『カリグラフィー・ブック』にも、フローリッシュの書き方は丁寧に解説されています。でも、カッパープレート・スクリプト体なら、こちらがバリエーションが豊富。
ま、どちらも超オススメですけどね。