うちの長男が習っているチェロの先生の呼びかけで、生徒が東日本大震災の義援金のためのチャリティ・コンサートを開くことに。楽譜をきのう買ってきて、いまちょうど自分の部屋で練習を始めたところです。
買ってきた楽譜をけさ見たら、へー、珍しいな、というフォントが使われていたので写真を撮っておきました。このフォント、小文字がイタリック体なのに、大文字はまっすぐ立っています。
これは、イタリアの巨匠アルド・ノバレーゼ(1920-1995)が自分の名前を冠した
ITC Novarese (ノバレーゼ)です。このフォントは、イタリック体でも大文字が垂直です。意図的にそうしている。
ルネサンス期、イタリック体の活字書体ができた頃は、小文字のみが傾いているのが普通でした。これは1502年のベニスの印刷物。
だからこのフォント ITC Novarese はそういうクラシックな感じを狙っているんです。いわば、「通好み」なフォント。
このフォントとまったく同じではありませんが、映画のタイトルバックでもこういう感じの組み方をしたのがあります。ミロシュ・フォアマン監督の『アマデウス』(1984年)のオープニングで出演者の名前が出る部分はそうでした。あと、これはうろ覚えなんですが、エマ・トンプソンとヒュー・グラント、ケイト・ウィンズレット共演の『Sense and Sensibility』(1995年)もそうだったような。DVD を人にあげちゃったので、今度確認しておきます。
そうそう、思い出したけど、つい最近、カタログか何かを見ていて、やっぱりこういう最初の大文字だけがまっすぐ立っていてあとがイタリック体で組まれてたのを見つけた。でも、それは単にフォントをイタリック体に変換するときに選択の範囲を間違えたものだったんだけど、見たときは「かっこいい!」って思った。どこで見たんだっけなー。それもとっておけば良かったなー。