ちょっと前のイギリスの書籍組版は
Plantin とか Bembo が多かった気がする。イギリスでは活字はモノタイプが強かったから、モノタイプ社のデザインがポピュラーでした。
もともとこの書体はモノタイプ自動鋳造植字機用の活字として1913年につくられました。クラシカルな骨格を持ちながらも小文字が大きめで骨太であったことから、印刷条件の厳しい場合でもしっかり読める書体として人気がありました。
あの日刊紙『The Times』が1930年代はじめに書体を新しくする計画をたてたとき、この Plantin がモデルとなって
Times Roman ができたという逸話も残っているほどです。
今回のイギリス旅行で、ロンドン中心部で最初と最後に撮った写真がどちらも偶然 Plantin でした。
これはロンドン・シティ空港から DLR 鉄道に乗って Tower Hill で地下鉄に乗り換えるときに、ちょっとだけロンドン塔を見に立ち寄ったときの写真。一番上の「HM TOWER OF LONDON」の部分が Plantin でした。おお、ロンドンだ!という喜びで撮った一枚。
できるだけ近づいてもう一枚。
これは、今回ロンドン中心部で撮った写真のうち最後から2枚目。最後のはピンぼけで使い物にならず、事実上これが最後の写真。最終日にカミさんにお土産を買おうとして立ち寄った、合成添加物を使わない良質なアロマセラピー製品で知られる「ニールズヤード・レメディーズ」のコベント・ガーデンにある本店です。
このお店のロゴに使われているのが Plantin 。
時間が早くて閉まっていたので、お店に行ったよという証拠のつもりで写真だけ撮って、実際の製品は空港に向かう移動の途中 Victoria 駅のショップで買いました。なんか最近日本でもお店がオープンして話題になってるらしい。それをカミさんが友だちから聞いてきたので、ロンドンに行くんだったら買ってこようと思ったんです。
製品にもパンフレット類にも Plantin が使われています。
この書体の魅力というと、ちょっとクラシックな骨格だけど、すましすぎないあたりかな。英語で言うと approachable (アプローチャブル)な感じか。最近よく聞く言葉です。つまり気軽に話しかけられるし近寄れる。 ショップで、笑顔で親切に説明してくれた店員さんもそんな感じでした。