あるスーパーマーケットでレジのところに置いてあった広告に、「へー、珍しいな」という書体があったのでもらってきました。英国のウィル・カーター氏が1955年にデザインした
Klang (クラング)です。彼はカリグラフィもできたし文字も彫ったし自分で印刷もしたし活字のデザインもした。
どうってことのない、当たり前のようなデザインですが、見れば見るほど味のある書体。主張しすぎないんだけど、小文字の c、 e の終筆部の小さなペンの返りがキラリと光る。うまいねー。
もちろん、原図はペンでさらっと書いたようなものでなく、厚紙にしっかりとポスターカラーみたいなので描いてある。実際、たまたま去年その原図を見てきたんです。ロンドンの Type Museum に去年行ったとき、これの原図が展示してありました。
このチーズはスイス産。広告はドイツのスーパーマーケットです。英国のカリグラファがつくった書体ですが、しっくり合ってますね。書体には、とくにその国や文化圏の色を濃く出すためにつくられたものもありますが、そういうのはごくわずかです。たいていは、この Klang のようにどこの国でも使えるんです。
ちなみに、Klangってドイツ語では「音・響き」という意味です。英語では調べても出てこなかった。