会社では私は書体デザインをしているだけでなく、ときどきインタビューに応じたり営業では手に負えないデザイン方面の質問に答えたりすることがあります。ほとんどは欧米からの質問です。
きょう、こんな「リサーチの協力願い」がありました。原文は英語です。
「なぜ Comic Sans MS は多くのデザイナーから嫌われるのか」
サポートの社員から、調査に協力するかどうかの打診を受けたので、喜んで協力するよと言いました。
質問が4つあって、それに対する私の回答を要約すると以下のようになります。
「Comic Sans MS が悪い書体だとは思いません。1万以上ある書体の中で、最高のクオリティとは言われないだろうけれども、中庸というところじゃないか。だいたい、『悪い』書体なんてものがあるのかどうか。どんな書体にも個性があります。Comic Sans で辞書を組んだとしたら、それは目的に応じた使い方をしなかったというだけのこと。子供向けの本に Comic Sans が使ってあるのを見るけど、そんなに違和感ないよ」
じゃあ、実際はどうなのか。ちょっと前に BBC ニュースのホームページに「Helvetica 50歳」の記事が載ったときの読者からのコメント欄にも、Comic Sans を嫌う意見があったなーと思い出して検索してみた。
ハッキリと名指しで嫌う人の意見を数えたら4つ載っていた。ハッキリと書いてないけど嫌いと言いたそうなのが1件。言葉の使い方からみて、コメントを寄せた人の多くはデザイナーではないようです。
うちひとりは、Comic Sans を「大人の仕事場や履歴書には使ってほしくない」みたいなことを書いていた。それについての反論が1件だけあって、その人は「中身より外見で判断する人とは仕事したくないから、あえて履歴書に Comic Sans を使っている」そうです。自分の履歴書なんだから好みの問題と言えばそれまでですが。ちなみに、残りのコメントは「Helveticaはクールだ」みたいなのが多いけど、Helvetica を嫌いな人のも1件ありましたよ。
BBC News の記事とコメント
Comic Sans リサーチの結果は教えてもらうことになっているので、結果がアップされたら、このブログからもリンクしようと思います。