家で片付けものをしていて、思いがけず
Frutiger Serif (フルティガー・セリフ)の使用例を見つけました。Frutiger Serif はフルティガーさんと私の共同制作で、2008年に発売されています。誰か使ってくれないかなーと思ってました。
去年マインツに行ったときにレストランの出口においてあったこのフリーペーパーをもらってきて、一度も中身を見ないで部屋に置いてあった。表紙に使われている書体は
Gotham Condensed (ゴサム・コンデンスト)のようです(読者の akira1975 さんが探してくれた)。
片付けるときに目を通してからにしようと思って中を見てびっくり。本文が全部 Frutiger Serif でした。まさかその使用例をもらってきてずっと2ヶ月部屋に置いてあったとは。
これが中のテキスト部分。テキストの版面にムラが出ず、均一になっています。右を組み流しにしている(行末揃えにしない)のですが、テキスト右側のデコボコがそんなに激しく出たり引っ込んだりしていません。組版の条件としては悪い方でしょう。フリーペーパーということもあって、細かい記事がいっぱいだしいろいろ広告とか入ってくるし、しかもこんなに幅の狭いコラムでドイツ語(単語が英語などに比べて長い)だし。その条件の割に、きれいな組み方だと思います。
もちろん、使ってくれた人もうまく組んでくれているんですが、そういう悪条件でもしっかり本文組がまとまるように書体を設計してあるんです。つまり、「こういう版面にできるはずだ」ということが最初に頭にあって、それを目標にアルファベットの一文字一文字をつくっています。パズルのピースをはめ込んでいくみたいに。
人目を引く面白い見出し書体もつくりたい、でもやっぱりうれしいのはこういうカッチリ組める本文用書体を設計できたときです。小さくガッツポーズ。
もちろん、フルティガーさんのもともとのデザイン、Meridien (メリディアン)が良かったんですが。
ffi の合字(ごうじ)も、ちゃーんと役目を果たしています。