日本から戻ってもうすぐひと月になります。日本ではいろんな人に会えたし、講演会やTDC審査会で会った人たち、ワークショップに参加してくれた人たちとその後も連絡などしています。今朝もそのうちの一人にメールしました。こういうつながり、仕事と関係なく、ただ嬉しいんですよね。
今回の日本での心残りは、また落語に行かれなかったこと...そのかわり、橘流寄席文字の一門さんの口添えがあって千社札の納札会をのぞかせていただきました。会場は鳶(とび)の方とかが多くて、あまり写真とかバチバチ撮ってると張り倒されるんじゃないかと思って隅っこの方でおとなしくしてました。隣に座った方からしきたりなどについて親切に教えてもらいました。
私の2年前のブログに、落語と寄席文字についての
こういう記事 があります。そのときの写真貼り付けます。これが寄席文字。場所は新宿末廣亭、番組表は橘流一門の方による手書きです。あれからもう2年か。
そこにも書いたとおり、私が書体デザイナーとしてこうして働いているのは、寄席文字から学んだことも大きいと思っています。本にも書いたけど、寄席文字の教室で一門の方から教わったことと、その数年後に世界的な書体デザイナーのマシュー・カーターさんから聞いた言葉とがまったく同じだった。
その橘流寄席文字の体験が、12月9日に福岡でできるそうです。
これこれ 。
講師は橘右女次(うめじ)さんで、この方には私も教わりました。納札会でも挨拶してきました。右女次さんは飄々としていて、せっかちなのか、書いている途中によくしゃべる。さっさっと手が勝手に動く感じで、あっという間にできあがった文字は見事。なんで?って魔法を見ているようです。福岡周辺の皆さん、要チェックです。
そういえば、ひと月前、日本にいるときに
雪さんとのインタビュー で寄席文字の話もしたっけ。寄席文字と勘亭流とは違うよって。寄席文字は落語の文字、勘亭流は歌舞伎の文字です。相撲は相撲文字。それが分かると世界が違ってくるよ。とくに、デザイナーさんちゃんと分かってよって。「書体 Bodoni はイタリア関係にしか使えない」みたいな根拠のない噂話とは全然違います。そんな話に振り回されている人は
こちら へ。
なんかインタビューは欧文書体についてというより脱線の話が多かったような...なので、その部分が本になるかどうかは分かりませんが。