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書体の名前:Nimrod と Ysobel
ときどき、「書体の名前ってどうやって決めるんですか?」って聞かれます。私が読んだ書体デザインの本の中では、自分の結婚相手や娘の名前、ゆかりのある地名などをつけるというのが昔は多かった。最近はいろいろあって、覚えてもらいやすいからか、短めの名前が多いかも知れません。

先日、英国モノタイプ社のロビン・ニコラスさんと会ってたっぷり話をしました。ニコラスさんは、私の好きな書体のひとつ Nimrod (ニムロッド)を1980年にデザインした書体デザイナー。こうやって大きくするとなんか不格好なんですが、小サイズで読みやすい。
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私がロンドンに住んで英語やカリグラフィの勉強をしていた時に使っていた辞書の本文書体が Nimrod で、辞書をめくりながら、こういう書体をつくりたいなーと思っていた。辞書は英会話学校に通うときに持ち歩いていたのでぐしゃぐしゃですが、いまも使ってます。
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ニコラスさんの最近つくった書体が Ysobel (イゾベル)という風変わりな名前なので、由来を聞いてみました。

英国の作曲家エルガー(1857–1934)の「エニグマ変奏曲」のなかに『Nimrod』というタイトルの曲があって、その曲がとても美しいメロディで好きなので、それから書体名 Nimrod をもらったから、それに関わりのある名前ということで同じ「エニグマ変奏曲」から『Ysobel』とした。ちなみに、ニコラスさんによれば、Nimrod は狩りの名手の名前、Ysobel はエルガーの弟子 Isabel で、彼の愛人だったんじゃないかっていう噂もあるそうです。

「しかも、『Ysobel』って Ys で始まる書体名なんて珍しいだろ? すぐに覚えてもらえると思ってね」ということです。

それを聞いて、うちにエルガーの「エニグマ変奏曲」のCD(André Previn: Royal Philharmonic Orchestra)があるのは思い出したんだけど、20年くらい前に買って、同じCDのなかの『威風堂々』しか聴いてなかった...わりと地味な印象の「エニグマ変奏曲」は一回しか聴いていないことを白状しました。ニコラスさんに、「最初は取っつきにくいかも知れないけど、いいよー。『Nimrod』聴いてよ!」と言われたので、家に帰って聴いたら、なんか聴き覚えがある。どこで聴いたのか?確かに心に残る旋律で好きになりました。

そういう書体名の付け方ってかっこいいな。でもやったことないなー。
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by type_director | 2009-11-21 14:56 | Comments(0)