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合字(2)
英語圏、仏語圏では、たとえば fi や fl の組み合わせが出てきたら合字にする、というふうに f が最初に来る合字はきっちり例外無しに使うんですが、ドイツ語圏はちょっと違います。これは金属活字書体の Aldus(アルダス)ですが、組版工がきちっと使い分けてます。
合字(2)_e0175918_1320822.jpg


「Oberfläche」では合字を使うけど、「Auflagen」では別々の f と l で組んであります。ドイツの組版には決まりがあって、「Auflagen」は auf と lagen という別の単語の合成でできた単語だから、その部分は f と l が隣り合っても合字にしないんです。

この話をドイツの熟練活版組版工とすると、例外無しに止まりません。
by type_director | 2009-06-26 06:16 | Comments(10)
Commented by me at 2009-06-29 02:10
これは知りませんでした。
ドイツ語圏以外にも同様の合字の使い分けがある物ってあるのでしょうか?
Commented by type_director at 2009-06-30 23:47
me さん、単語を合成して別の単語をつくるっていうのが他の言語にあるかどうか、ですね。私はドイツ語しか知らないので、いまのところ例に出せるのはドイツ語だけです。
Commented by taro at 2013-04-14 11:59
ドイツ語の合字をしない規則を探していてこの記事にたどり着きました。単語同士ではない、たとえばberuflichのような、単語に接尾語をつけているケースでは、flに合字を使うのか、分けて書くのか、もしよろしければ教えてくださいませんか。
Commented by type_director at 2013-04-18 14:57
taro さん、ご質問有り難うございます。ただいま出張中なので、ドイツの自宅にもどってから返事致します。4月30日以降になります。
Commented by type_director at 2013-05-05 00:59
taro さん、お待たせしました。けっこう例を探すのに時間がかかってしまいました。この記事であげた例とは別の書籍の組版で、ある単語で fl は合字を使っていて、「erzbischöflich」という単語では f と l と別々にしていました。ですから、その書籍の例では使い分けていると考えて良さそうです。でも、その使い分けが、たまたまそこだけなのか、ドイツ語圏全体でどこまで徹底している(た)のか、は不明です。
Commented by taro at 2013-05-05 14:45
お返事ありがとうございます。わざわざお調べいただいて恐縮です。ようやく胸のつかえが取れました。
Commented by szkippei at 2013-12-20 01:45
小林章先生、こんにちは!
私は文字や活字が本当に好きで、世界のトップで活躍されている
小林先生が本当にすごいと思っていまして、「フォントのふしぎ」を
とても楽しく読ませていただきました。今回も、「まちモジ」を
これからゆっくり読ませていただくところで、とても楽しみです。
この機会に、ずっと気になっていたことを、この場で質問させて
いただくことにしました。
ドイツ語のちゃんとした組版の特徴で、この画像にも何か所かある
ように、chを1文字として扱っていると思うのです
(cとhの間が明らかに近い)。これは、合字と呼ぶのでしょうか?
2012-04-01の記事にもc-h合字のことをご紹介いただいていますが、
ローマン体のこのchも合字と呼ばれていますでしょうか?
(改めて見て思ったのですが、ちょうど画像ど真ん中辺りの
 Buchdruckmaschinen の ck も1文字として組んでいるのでしょうか?)
ご教授のほど、どうぞ宜しくお願いいたします!
これからもたくさんの魅力的な記事やご本を、
楽しみにしています。どうぞ宜しくお願いいたします。
Commented by type_director at 2013-12-25 09:00
szkippei さん、ご質問ありがとうございます。このドイツ語の組版の Buchdruckmaschinen の ch も ck も1文字として鋳込まれている合字です。この写真のように、 ch、 ck がくっついていないけど「合字」という扱いでそれぞれが1文字として鋳込まれているのもあるし、 ch、 ck がくっついているデザインもあります。私の Akko では、くっついている合字を入れてみました。www.linotype.com/6578/akko.html の下の方を見てください。
Commented by szkippei at 2013-12-26 01:19
こんにちは。ありがとうございます! Akkoのページを拝見しました。独自のデザインがある合字というのは新しい文字の発明でもあって、本当に興味深いです。小林先生のAkkoのch合字のようなスタイルは、先例のあるものなのですか? オリジナルですか? schはもともとの金属の活字でも合字なのですか? 印刷物ではs+chという風に見える気もしますが……。「まちモジ」のp. 155のStempel Garamondの写真でも、ch・ckは合字だとわかりましたが、jetztのtzはいかがでしょうか? 他にもドイツ語で伝統的に合字になっている組み合わせとかはあるのでしょうか? 例えばエスツェットでないssとか……。本当に楽しいです。長文で失礼いたしました。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
Commented by type_director at 2014-01-18 16:53
szkippei さん、Akko の ch 合字、いちおう先例はあります。私の発明でも何でもないってことです。この写真の書体 Aldus ではご想像の通り s+ch ですが、ドイツ文字だと sch 合字があって、その場合は s は「長い s」になります。この記事の書体サンプルの下の書体名「Wilhelm Klingspor Gotisch」の sch がそうです。
http://t-director.exblog.jp/17658486/

Stempel Garamondの写真については、資料を確認してから返事しようと思いますが、資料が会社です。出張後の1月末にお答えします。

ドイツ文字の伝統的な合字では、ss は「長い s+長い s」合字があります。あと「小文字エル+小文字エル」合字も。
『欧文書体のつくり方』
小林章著
Book & Design 刊
欧文書体の第一人者によるフォントとロゴ制作の教科書。美しく読みやすい文字をつくるための基礎知識と考え方を解説。
 
プロフィール

小林 章
欧文書体で120年の歴史を持つライノタイプ社のタイプディレクターとして 2001年よりドイツに在住。同社は 2013 年 3月よりモノタイプ社と改称。主な職務は、書体デザインの制作指揮と品質検査、新書体の企画立案など。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏と共同で書体制作も行っている。欧米や日本での講演多数、コンテストの審査員もつとめる。
著作:『欧文書体:その背景と使い方』『欧文書体2:定番書体と演出法』『フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?』(いずれも美術出版社)『まちモジ:日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?』(グラフィック社) 『英文サインのデザイン:利用者に伝わりやすい英文表示とは?』(田代眞理氏との共著、BNN 新社) 『欧文書体のつくり方:美しいカーブと心地よい字並びのために』(Book & Design)
 
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