ここでちょっと、路地レベルで出会える「フルティガーさんの仕事」を私の視点で表してみます。世界中どこでもいいわけですが、しぼりやすいところで、フルティガーさんの住むベルン市で見てみましょう。ベルンはこんな小さな街です。
ベルンの駅を出ると観光案内のボードが。これがフルティガーさんの書体
Frutiger です。
街の中央の市場の立つベーレン広場にも。街のあちこちに案内板があります。
そのベーレン広場にある金融大手の UBS の制定書体は
Walbaum(ワルバウムまたはドイツ語式発音でバルバウム)と Frutiger 。
隣のショウウインドウに見えているのはスイス郵便の広告ですが、スイス郵便の制定書体も Frutiger です。ロゴもフルティガーさん作。
ベルン市のバスの制定書体も Frutiger です。
雨上がりのバス停で。路線図。
街の道路名や案内も、
スイス全土の道路標識も、数年前から Frutiger を若干アレンジした特注書体のものに変わりつつあります。
こんなふうに、フルティガーさんは街のいたるところで自分の書体 Frutiger を目にしているわけです。音楽家にたとえたら、どこの街角でも自分の音楽が聞こえるみたいなもんでしょうか。バッハやモーツァルト? ビートルズ? でも、フルティガーさん本人の顔はほとんど知られていないと思っていいでしょう。そのへんが他の有名人とは違うところです。