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インクボールとドイツの印刷業

二つ前の記事で書いたインクボール ダッバー と呼ばれるものは、活版印刷の活字の上に薄く均一にインキをのせるためのタンポのような道具で、ゴム製のローラーができる19世紀より前はそれを使っていました。

これは数年前にベルリンの Deutsches Technikmuseum(ドイツ技術博物館)に行ったときに見た印刷機の展示。木製の印刷機(複製)とインクボールがありました。インキをつけるタンポ部分は革製で、木製の把手がついています。

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インクボールを使って活版印刷をしているのを見ることはまずないと思うのですが、ドイツでは印刷業のシンボルとして生き残っていて、印刷に関係のある場所でよく目にします。

ドイツの印刷業のシンボルは、インクボールを両手に持つグリフィンです。下はダルムシュタット市にある印刷博物館に飾ってあった、職人として一人前になった人に渡される証書です。使われている活字書体は、Rudolf Koch 作の Wilhelm Klingspor Gotisch です。合字(ごうじ)の使い方が見事です。

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下の写真の店は現在本屋になっていますが、インクボールを形どったこういうシンボルがあるので、少し前は印刷屋だったことが伺えます。この上の証書の飾ってある建物とは全然別の街ですが、偶然にも店のガラスに書かれた書体が Wilhelm Klingspor Gotisch でした。

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# by type_director | 2022-05-14 15:31 | Comments(0)
「日本語ゴシック体のデザイン:現在とこれから」

JAGDAの運営する『The Graphic Design Review』に、Monotype のシニアタイプデザイナーの土井遼太さんが「日本語ゴシック体のデザイン:現在とこれから」を寄稿しています。

中村征宏さんが牽引した1970年代の写植書体のことや、今年2月に発売された Shorai Sans についてもわかりやすく図版を多く使って書かれています。

記事は こちら


# by type_director | 2022-04-22 12:00 | お知らせ | Comments(0)
印刷博物館のこと

きょう、Fontplus Day セミナー「文字の歴史を再発見」をドイツから視聴していました。印刷博物館 の中西保仁さんと木谷正人さんによる丁寧でわかりやすい説明に、ついついのめり込んで最後の質問コーナーまでじっくり聴いてしまいました。

その質問コーナーで、司会の関口さんが、私が博物館の中の印刷工房でインストラクターをしていた話を始めました。まさか私の名前が出ると思っていなかったのでびっくり。

中西さんが笑いながら、「それは小林さんにとって黒歴史じゃなかったんでしょうか」というようなことをおっしゃっていましたが、とんでもない! 自慢したいくらいですが、私ごときが中途半端な知識で知ったかぶってもすぐにメッキが剥げるので、そんなにあちこちで言ってこなかったのです。

この写真は、博物館のインストラクターをしていた2000年の秋、たぶん開館直後に、自分のコレクションの木活字を工房に持って行って刷らせてもらったときのものです。なにせ、昔の印刷機でちゃんと印刷しているところを見ていただくのが目玉だったので、なんでもとにかく刷っていたのです。

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コロンビアン・プレスという19世紀の手動の印刷機の前でローラーを持って笑顔で写っているのが私です。セミナーの説明にも出てきたインクボール(またはダッバー)でインキを均等な濃度で活字面にのせるには高度な技術が必要で、私の時は使っていませんでした。

当時工房で刷ったものも大事に持っています。写真の左にある携帯と比較すると、この木活字の大きさがわかると思います。

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Fontplusday では、博物館の準備段階の話も出てきて懐かしかったです。インストラクターになるためには印刷機や活字の扱い方に慣れて人にも説明できるようになっている必要があるので、準備期間のあいだに高岡重蔵先生、高岡昌生さんと凸版印刷のOBの方々にたくさんご指導いただきました。そして9月に博物館が開館になりインストラクターとして働き始めたその年の末に、Linotype からタイプディレクターに採用の声をかけていただいて、せっかくご指導いただいたのに辞めてドイツに行ってしまうことが申し訳なく、かなり迷っていたことも思い出しました。21年以上前のことです。

印刷インキの匂い、木や金属の活字で一枚一枚刷って仕上がりを確認するときのワクワク感が懐かしい。日本に気軽に行くことができるようになったら、絶対印刷博物館に行くぞ。


# by type_director | 2022-04-20 20:49 | Comments(0)
Type& 2021 レポート
2021 年に開かれた Type& の4つのプレゼンテーションの要約が図版入りで見られるレポートです。見逃した方、もういちど図版をじっくり見たい方、こちら からどうぞ。

# by type_director | 2022-04-13 13:15 | お知らせ | Comments(0)
デザインフォーラム「TDCDAY 2022」
デザインフォーラム「TDCDAY 2022」が YouTube に上がっています。東京タイプディレクターズクラブが選んだ優秀作品の講評と作者自身による解説が観られます。
TDCDAY 2022(日本語版)

またオンライン授賞式もあります。こちら です。


# by type_director | 2022-04-12 05:08 | お知らせ | Comments(0)