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ö はドイツ語だけじゃない

ちょっと調べたいことがあって、W. A. Dwiggins の本『Layout in Advertising』をぱらぱらめくっていました。1928年の本です。

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そうしたら、本文中に、「coördinating」という単語が出てきて、ハッとしました。

イギリスでタイポグラフィの勉強をしていたときに、ある本に書いてあったのを覚えていたのですが、そこでは母音が二つ繋がる時に「co-operation」または「coöperation」とする例が載っていたのです。「coop」部分を「コウ・オプ」と発音してもらうようにはっきりさせるための表記で、これをしないと「クープ」と読まれる恐れがあるということか、と納得しました。この写真の場合は、「コウ・オーディネイティング」になるわけです。

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現在は「coordinating」「cooperation」が一般的で、「ö」を使った表記は1800年代も今もごく稀です。Google Books の Ngram Viewer では、Google Books のアーカイブの中で出現する単語の使用頻度の年毎の推移を見ることができるので、それで調べました。

「coöperation, co-operation, cooperation」などとコンマで区切って入力すればいくつかの単語を同時に見られるところが便利。

「naive, naïve」を調べてみたら、2000年代に入って少し「naïve」が上がってきたこともわかりました。



# by type_director | 2020-02-27 17:04 | Comments(0)
多言語対応

1月から2月中旬まで日本に出張していました。

日本ではあちこちでホテルの建設が進んでいるようで、こないだの出張では昨年できたばかりの新しいホテルに宿泊しました。

部屋の空調と照明のコントロールを、部屋の真ん中にあるタブレットから行うようになっていて、そのシステムをよく見てみたら、日本語と英語以外にも数カ国語の言語で表示できるようになっていました。いろんな国から旅行者が訪れることを想定しての設備なのでしょう。

私が部屋に入ったときは、日本語に設定されていました。照明を全て点灯させたい時には

日本語:ALL ON

…って日本語じゃないじゃん、と思ったけど、ドイツ語に切り替えてみると、ドイツ語がもっとおかしい。照明を全て点灯させるボタンは大文字で

ドイツ語:ALLES ANGEZÜNDET

となっていました。この言葉だけ直訳すると「すべて火がつけられた(状態)」のような意味にもとれます。動詞 anzünden はおもに火薬や火種に火をつけるときに使う言葉だし、バーベキュー用の火起こしのための着火材料は Anzünder です。

そのタブレット画面の写真を撮って、なにもコメントを添えない状態でドイツにいる子供たちに SNS で送ったら、すぐに「すげー」「着火しちゃってんじゃん」と返ってきました。ドイツ語を話す人が驚くことは間違いないです。

(2月27日追記:たまたま今日のニュースを見ていて出くわしたのがこの記事。使用されなくなった駅舎に若者が放火した疑いというニュース、見出しの5つ目の単語が「angezündet」です

気づいた人が気づいた時に伝えることで改善のきっかけになる、と思います。ホテルのフロントのかたに口頭で伝えることは難しいし、そもそもホテルの設備の不備とかでもないので、アンケート用紙に書いてお渡ししました。ホテルの居心地はとてもよく、とても満足でまた利用したいと思います、とも書き添えました。本当にそのシステムの多言語対応だけが残念です。

これが昭和の時代の設備なら、多言語対応など考えられていないのはしょうがないかもしれません。でも、最新の設備や機器のなかでもこんな状態なのです。

こんな記事 がありました。私が見た照明システムのとはまた違った次元の話だとは思いますが、「それ、伝わるかどうか確認したのですか?」という部分では同じです。私と実務翻訳家の田代さんとの共著『英文サインのデザイン』で書いたのは、そういうことです。

こちら で本の一部の試し読みができます。








# by type_director | 2020-02-26 06:11 | Comments(0)
鉄の芸術
昨年、ヨーロッパの鍛冶職人の仕事ってすごいということに気付いてから、門扉や窓枠、鉄製のバルコニーなどにも注意が行くようになりました。
これは Worms(ヴォルムス)で。
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夕暮れの Eltville で、邸宅のバルコニー。
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古本でその手の本を買って、そこで紹介されている門扉の写真を撮りに行くこともありますが、このBorbeck 城ではいま改修工事が行われていて、門扉はすでに取り外されたあとでした。
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どこかに保存されていて、改修が終わった後に元通りにしてほしいと祈る。






# by type_director | 2020-01-12 02:00 | Comments(0)
フランクフルトのクリスマス風景
フランクフルトの年の瀬の風景です。文字のあるものを選びました。

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# by type_director | 2019-12-24 16:36 | Comments(0)
グドルンさん 

グドルン・ツァップ・フォン・ヘッセさんを慕う多くの日本のかたに、とても残念なお知らせをしなくてはなりません。

今月13日に、グドルンさんが亡くなられました。

その日は、朝から湿った雪の降る暗い灰色の日でした。夕方に電話があって、お孫さんからの涙声の報せでそのことを知りましたが、最初は何のことかまったくわかりませんでした。たった2週間前の11月30日にグドルンさんのお宅にうかがったときは、いつもどおりお元気で、「では年明けに、102歳のお誕生日のお祝いにまた伺いますよ」と握手を交わしてきたばかりだったからで、そのときのようすをお孫さんに伝えました。

最後の訪問のときも、いつも通りにグドルンさんはご自分で入れた紅茶をいそいそとすすめてくだって、私もいつも通りにケーキを2ついただいてきました。10月に東京で開かれた、活字の Diotima とカリグラフィのコラボレーション展のご報告をして、展覧会の様子を写真でご覧いただき、またこれもいつも通りに、半地下のグドルンさんの工房で製本の道具やグドルンさんの装丁による革の表紙の本などをじっくり鑑賞させてもらいました。

ヘルマン・ツァップさんが2015年に亡くなってからも、仕事とは関係なく、この4年間ほぼ隔月ごとにグドルンさんのお話を伺いに行っていました。花を持って行ったり、グドルンさんの書体の使用例を見つけたときはそれを持って行ったり、グドルンさんに喜んでいただけるそうなものを探しては持っていくのが楽しみでもありました。

そういえば、2年前には こんな記事 も書いていました。アメリカのシアトルで撮った写真を届けた話です。このときは私の恩師、高岡重蔵先生もまだご存命でした。

もちろん、アメリカでも日本でも見つけたものは買ってお届けし、持っていけないものは写真に撮って帰り、ご覧いただきました。昨年の3月で雪の中、私の生まれ育った街である新潟で Diotima の使用例を見つけていました。ホテルから買い物に出たついでに、いつも大通りじゃつまらないからちょっと脇道に入ろうという気になって車一台がやっと通れるような道を歩いていたら、目の前に洒落た洋風のアパートが現れ、そのアパートの名前が Diotima で堂々と組まれていたので写真に収めました。ドイツに戻ってすぐ写真をグドルンさんに届けに行ったときは、ことのほか喜んでくださったのを覚えています。


おととい12月20日、グドルンさんのお葬式に参列してきました。この鮮やかな朝焼けの中、ダルムシュタットの墓地に向かいました。

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葬儀の後、ヘルマンさんの眠る墓地にグドルンさんの棺が納められるときには冷たい雨がパラパラと降り出して、埋葬が終わって親類縁者の方々と食事を一緒にした後もずっと降り続けていました。


きのう、年末に備えて食料品を買い足しに、普段行くのとは違う場所のスーパーマーケットに入ったときのことです。

レジの手前にあるワイン売り場の棚を通りかかったとき、いつもの癖でワインの棚に目が行き、ラベルの書体を片端から見始めてわずか数秒、グドルンさんの Smaragd (スマラークト=宝石のエメラルド)が使われたラベルが目に入りました。「DU CARTILLON」そして「2015」の数字がそうです。買って帰り、家のテーブルで眺めています。

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グドルンさんにこのワインお見せしたかったけど、間に合わなかった。ここにきて、私はいろいろと間に合わないことを繰り返している気がします。







# by type_director | 2019-12-22 22:33 | Comments(0)