MUSIC [THEME REVIEW]

Mary J. Blige/リフレクションズ~ア・レトロスペクティヴ

自分の個性でひた走ったプライドを学ぶ

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2006.12.13
¥2,200(税込)
ゲフィン
UICF-1083


女性の活躍が非常に困難だと言われていたブラック・ミュージック・シーン。特に彼女がデビューした1990年代初期は、派手なステップを売りに、カラフルな衣装を身に纏ったダンサブルで激しいビートを奏でる男性ヴォーカル&ダンス・グループ・ムーヴメントが絶頂期、現在シーンのトップをひた走るメアリーJ.でさえその栄光勝ち取るには想像を絶する努力が必要だったはずだ。同類の中にはマッチョな男性に対抗すべくサグ・ライフを売り物にシーンに挑んだ者もいた。また一方ではセックス・アピールを武器に男性に媚びた戦法で、セールスを獲得する者もいた。しかし、彼女は決して自分の個性を捨てることなく自らの行く道をひた走った。もちろんマーケット・ニーズに沿うように、コマーシャルなパフォーマンスもなくはなかった。が、彼女は彼女であるというプライドだけは捨て去らなかった。そして自らが女性であることも捨てることはなかった。ただ一途に高々と彼女は女性であることを誇示し続けた。だからこそ今この時、グラミー賞最多8部門ノミネートという栄光を手にしたのではなかろうか?キャリア初となる本ベスト・アルバムでは、そんなメアリーJ.ブライジというヴォーカリスト、そして女性の全貌を如実に表現した1枚である。らしくあることを誇る女性の生き方の手本がここには、ある。

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# by switch-theme | 2007-02-05 12:38 | SOUL/HIP HOP/CLUB

Mariana Baltar/ウマ・ダマ・タンベン・ケル・シ・ヂヴェルチール

春の訪れが待ち遠しくなる今注目のボッサ
Mariana Baltar/ウマ・ダマ・タンベン・ケル・シ・ヂヴェルチール【WORLD】


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2007.1.22
¥2,625(税込)
Rip Curl Recordings
RCIP-0103


男性より圧倒的に女が存在感を放つ、女性的なサウンドの代表、ボサノヴァ。ソフィスケイトされたアコースティック・ギターの音は、つぶやくようなポルトガル語と慰めてくてるような優しい女性の声が良く合う。さらに、南米の女性はなんて、美しい人が多いのでしょうか?きれいなお姉さんが、優しく(時に激しく)愛を囁く……。女性でも微笑んでしまいます。さて、そんな両方を兼ね添えた今ブラジルで大注目のアーティストが彼女、のマリアーナ・バルタール。日本でリリースされたばかりのこのデビュー・アルバムは、サンバの大名曲から、ジョアン・ボスコの「Bala com bala」、ジョルジ・ベンジョールの「Zumbi」まで幅広くカヴァーしたもの。さらに、参加ミュージシャンが、本国や、その筋がお好きな人なら必ず一度は耳にしているだろう、本格派ミュージシャンで固められています。そんな中、圧倒的な存在感を見せ付ける、柔らかでコケティッシュなヴォーカル。これから、春が待ち遠しくなるような、温かみのある1枚です。

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# by switch-theme | 2007-02-05 12:36 | JAZZ/WORLD

Various Artists/ミューズ~Classy Style

美しく波動で心も身体も清らかに
Various Artists/ミューズ~Classy Style【CLASSICAL】


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2006.6.21
¥2,500(税込)
ユニバーサル
UCCS-3017


オペラの世界には、ソプラノ、メゾ・ソプラノ、アルトといって、歌う音域によって、パートが分かれますが、基本的に合唱の場合は主旋律を、オペラにおいては主役を、基本的にソプラノが歌います。ソプラノは花形であり、そしてそのほかのパートはちょっと悲しい想いをして、主役の女性を見つめるのです。そんな羨望の的であるソプラノを中心としてオペラ・ポップまで、清らかな女性ヴォーカリストの歌声を収録したコンピレーション・アルバムが今作です。昨年大ブームを生み出した通常はテノールで歌われる『トゥーランドット』の「誰も寝てはならぬ」をUKクラシック界屈指の歌姫、キャサリン・ジェンキンスのヴェルヴェットのような歌声で歌い、サラ・ブライトマンの天に届くような「ドレッタの夢」(プッチーニ『つばめ』から)が、疲れをスッと吹き飛ばしてくれ、ニュージーランド出身のヘイリーが「ベネディクトゥス」で、我々に許しを与えてくれるかのような歌声を聴かせてくれます。女性にしか生み出せない、美しき波動があふれたおとくな1枚です。

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# by switch-theme | 2007-02-05 12:35 | CLASSIC

Original Soundtrack/「マリー・アントワネット」オリジナル・サウンドトラック

今もっとも話題の“女”を彩るディープな面々
Original Soundtrack/「マリー・アントワネット」オリジナル・サウンドトラック【NEW RELEASE】


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2006.12.13
¥3,200(税込)
ヴァーヴ・フォーキャスト
UCCB-1024


この冬もっとも話題になっている映画のひとつ『マリー・アントワネット』。『ロスト・イン・フラストレーション』で、一躍注目の監督となったソフィア・コッポラが、ここ日本でも最も有名な海外の王女であるマリー・アントワネットの人生を、女性ならではの目で綴った本作。14歳でオーストリアからフランスに嫁ぎ、18歳で王女へ、そして38歳でフランス革命により、断頭台のつゆとなった彼女は、時折、国民の税金をむしり取り、贅の限りを費やしてフランスを破綻させた悪女……と描かれることが多ですが、その行動を女性の目で見た場合、彼女はとても淋しがりやで、甘ったれで、純粋だった気がする。ただ先代のルイ14世が晩年行った男、いや、恥知らずなオッサンによるベルサイユ宮殿の乱れた秩序(実際酷かったらしい)に振り回された、若い世間知らずな娘なだけではないかと?そんな疑問をこの映画は、晴らしてくれた。さて本作は、ベルサイユ宮殿でのロケによる本物のロココ世界と、それを彩るサウンドの監督のセンスがすごい!80年代のニュー・ウェイヴやポップスが中心で、ザ・キュアー、スージー&ザ・バンシーズ、ストロークス、ニュー・オーダー、ギャング・オブ・フォー、アダム&ジ・アンツ、エイフェックス・ツイン、エール、スクエアプッシャーらの楽曲に、オリジナル・スコアも取り混ぜ演出。マリーの孤独を映し出すディープなサウンド陣。それが、昔の世界の問題がとてもリアルに現代的に浮き彫りになって共感が持てる。それにしても名曲ばかりをうまく使いこなしたのもです!

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# by switch-theme | 2007-01-25 10:39 | NEW RELEASE

Kate Bush/天使と小悪魔

美しく潔い感性と技術により奏でられる音楽
Kate Bush/天使と小悪魔【POP/ROCK】


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2005.11.2
¥2,600(税込)
EMI
TOCP-67815


女性アーティストとして、この人なしでは話が始まらない!1977年、ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアに見出されデビューした妖精、ケイト・ブッシュ。その姿も声も、そして生み出したサウンドもこの世のものとは思えないほど幻想的で、ただため息交じりでまるで魂を抜き取られたように彼女に魅入られたものだ。テレビ番組『恋のから騒ぎ』のオープニングとして長くOAされている人気曲「嵐が丘」でも分かるとおり、透き通っていて艶っぽい彼女のハイトーン・ヴォイスを聴いていると、魂が浄化されているよう……。クリスタルのようなパワー・ストーンの効果に近い気がする(本当に効果があるとして)。このアルバムは、その彼女の歌声をフルに使った多重録音作品としても誉れ高い。当時の録音技術を斬新に使った革命的な作品とも言える。現在人気を博すエンヤのサウンドもここから始まった(よね?)。デイヴ・ギルモアの手腕に拍手!デビュー当時は、そんな風にまったく現実を感じさせなかった彼女も、30年経った今や母となり、昨年は2枚組みアルバムをリリース。幻想的な雰囲気はそのままに、母としての強さも感じさせた、たおやかな女性アーティストぶりを披露してくれた。いつまでも、あの日の憧れはそのままに……。

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# by switch-theme | 2007-01-25 10:36 | POP/ROCK




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