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聴いておきたいディスク6枚 '06.Nov

スキマスイッチ『夕風ブレンド』

聴いておきたいディスク6枚 \'06.Nov_b0071696_1623481.jpg今夏のオーガスタ・キャンプで彼らがトリを務めた時、ふたつ驚いた。いつの間にこんなにたくましくなり、またこんなに熱いファンが増えていたのか、にである。単にこちらが遅れていたのだが、それほどデビューからの三年でスキマは一足飛びで成長した。果たして新作は大橋のボーカルも常田のサウンドメイクの引出しも、昨年の前作を見事更新。快作である。かつて、同じ事務所の先輩である山崎やスガがその探求を「深度」に向けていったが、彼らにとってそれに値するのは「純度」であることが伝わってくる。そのあたりが、『ラフ』や『ドラえもん』といった映画の主題歌がハマる理由でもある。(内田正樹)
AUCK-11008/オーガスタ ¥3,059(tax in) 11/29発売






鈴木正人『UNFIXED MUSIC』


聴いておきたいディスク6枚 \'06.Nov_b0071696_16235875.jpg緊張感みなぎるトリオでの即興演奏から始まる鈴木正人のソロアルバム。コンボによる心躍る演奏の中に独特のメロディセンスが冴える楽曲もあれば、想いを馳せるように響くホーンと青柳拓次の声の絶妙な重なりが本当に美しい曲もあるし、UAの歌声の艶やかさと陰りが楽曲に不思議な情緒深さを感じさせる曲もある。そしてそれら一曲一曲がゆるやかに繋がってひとつの世界を作っているから、聴き進めるうちに自らの感覚もどんどん研ぎ澄まされ、その中で起きている空気の揺れにさえイマジネーションが膨らんでいってしまうのだ。これぞ、鈴木のソロだからこそ味わえる、恐ろしく気持ち良い一枚。(川口美保)
INTD-1010/intoxicate records ¥2,600(tax in) 11/22発売






ロボ宙&DAU『LIFE SKETCH』

聴いておきたいディスク6枚 \'06.Nov_b0071696_1624982.jpg5年前恵比寿のクラブで初めてロボダウのライブを見た。客の声とDJ音の入り混じる喧噪の中にいて、彼らは決して自分達の音を強く主張しなかった。それならこちらから耳を傾けようと思った。そうすることで彼らの音はずっと深く入ってきた。在と不在、安定と不安定が同居しながらも、揺るがない静穏感。ダウが奏でる音は私達に架空の旅をさせ、そこに乗るロボ宙の言葉は、目に見えないものを想像させる。その音が、いつも近くにいてくれたらと思った。焦らず待ち続けたらやっとCDが届いた。仄明るい夜明けにも晴々とした昼間にも深く青い夜にも、彼らの音はおのずと溶け合う(鈴木久美子)
FRAGMENT-601/デフラグメント ¥2,625(tax in) 発売中






大西ユカリと新世界『おんなのうた』

聴いておきたいディスク6枚 \'06.Nov_b0071696_16241891.jpg圧倒的な歌唱力を武器にR&Bと歌謡曲、その他のジャンルの垣根を破壊しつつ、日本人の心に響く「うた」と関西弁弾丸トークを発し続ける大西ユカリ。今作では、卒業証書を持ったまま近畿道を走る女トラック運転手や、内情は火の車の女社長など、様々なおんなの人生を描いている。中には、『いちご白書』ならぬ「『県警対組織暴力』をもう一度」などヤングには理解不能な。興だょうだ織暴力』をもう一度」と、ヤングには全く理解できない曲題名もあるが、この機会に 深作欣二にハマるのも一興だ。さらに、前作『昭和残唱』を踏襲するようなカバー曲がまた秀逸。「マリン・ブルー」におけるスケール感は彼女がただの「おんな」ではないことを証明する。(東屋雅美)
BSCL-30042/サブスタンス ¥3,150(tax in) 発売中






The Game『ドクターズ・アドヴォケイト〜コンプトンからの使者。』

聴いておきたいディスク6枚 \'06.Nov_b0071696_16242873.jpgG-UNITを抜けたゲームを待っていたのは、大歓迎モードのメインストリームだった。カニエと50セントを笑い(やり過ぎ)、バスタと飲み明かし、スヌープとローライダー&ウエッサイアンセムを歌う。OPからしてスヌープのアルバムかと耳を疑うようなウエッサイ節炸裂で、スヌープファミリー以外にネタがない、西海岸ヒップホップの復権を唱える。とにかく全編ゲームの天才的なライミングセンスに支えられ、ロスの凶悪エリア・コンプトンの伝道者を標榜するゲームここにあり、なのだ。そして大傑作だった前作を軽く凌ぐそのクオリティに、ラッパーとしての素直な成長を感じぜずにはいられない。(青木雄介)
UICS-1080/ユニバーサル ¥2,200(tax in) 発売中






エイミー・マン『ワン・モア・ドリフター・イン・ザ・スノウ』

聴いておきたいディスク6枚 \'06.Nov_b0071696_16243878.jpg2年前のロックオデッセイでピート・タウンゼントの姿を目の当たりにした時、こみ上げるものを止められなかった。ギブソンからフェンダーに持ち替えたギターからは紛れもないザ・フーのサウンドが繰り出され、それは確実に20年以上のブランクを超えて前進していたからだ。キース・ムーンのみならず、ジョン・エントウィッスルまでも失った現在の彼らは、片翼を失った双発機のごとき状態だ。しかし、この“まさかの”ニューアルバムは、全盛期の『トミー』や『四重人格』を想起させるようなロックオペラ仕立ての19曲という大作。伝説となることを断固拒否する彼らの今を聴け。(東屋雅美)
V2CP-304/V2 ¥2,520(tax in) 発売中
# by switch-music | 2006-11-17 00:00




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