ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

54 二冊しかないから気になる

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 アラン・プライアーの一九六十年代なかばの作品が二冊ここにある。僕の知るかぎりでは、さらに四作ある。それらがペーパーバックになったかどうか、定かではないけれど、ペーパーバックになっていて当然だと思うと、自分の手もとに二冊しか見つからないことじたいが、まず気になる。どちらも充分に面白そうだから、まだ手に入れていないものが、余計に気になるわけだ。
 『ジ・オペレーターズ』は、人生をそのどん底までほぼ食いつめきったような男ふたりに女性ひとりが加わり、三人ひと組で一発逆転という最後の望みをかけて、犯罪を計画して実行するその顛末が、一編のサスペンス小説になっている、という作品であるようだ。『尋問者たち』のほうは、強姦した上での殺人という性犯罪を、若い警官と年配の刑事が捜査して解決にいたるまでを描いた、警察物語だという。コロムビア映画によって原作の映画化権が買われ、ほどなく映画になる予定だと、裏表紙にはうたってある。
# by YOSHIO-KATAOKA | 2007-01-19 21:29

53 エドワード・ルイス・ワラント

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 エドワード・ルイス・ワラントというアメリカの作家の名やその作品を知っている人は、きわめて少ないのではないか。僕も知らない。その小説作品をペーパーバックで二冊、持っているだけだ。僕がいまも大量に持っているペーパーバックのなかには、ずっと気になっているこの一冊とか、なぜか気持ちをとらえ続けるこの作家のこの二冊、というペーパーバックがたくさんある。エドワード・ルイス・ワラントのこの二冊も、そのような例のひとつだ。手当たり次第に買っているうちに山となったペーパーバックのなかに、あとになって点検していくとことのほか気になるものが何冊もある、ということだ。
 一九六十年に出版された『ザ・ヒューマン・シーズン』が最初の作品で、『ザ・ポーンブローカー』はその次の年のものだ。どちらの作品をめぐっても、若いジューイッシュ・ライターだったワラントは絶賛を集めた。彼は若くしてこの世を去ったようだ。『ザ・ヒューマン・シーズン』では、都会に生きる人たちの底なしの根なし草状況が、その底まで追い込んで描いてあるようだ。『ザ・ポーンブローカー』は、ブルックリンで質屋を営む男性に託して、落ちるところまで落ちきった人生というものが、描かれているという。一九六十年代の初めに、僕はこの二冊を手に入れた。読むのはいつになるのか。
# by yoshio-kataoka | 2007-01-12 14:20




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