48 短編集に収録される作品の数

短編集のペーパーバックだけを選び出し、別にしてみた。たいへんな冊数だ。積み上げると二十メートルにはなるだろう。どの一冊も読んではいない事実に、感銘のようなものをいま僕は感じている。短編集だけを読み続ける、という読書は充分に成立する。報われるところは多いのではないか。
積み上げて二十メートルの高さのなかから、ここにある七冊を選んでみた。選んだ基準は、収録されている短編の数だ。もっとも少ないのは、四人の作家による四つの短編を一冊にした、『フォー・バイ・フォー』というグローヴ・プレスのペーパーバックだ。十編を収録したものが二冊、そして十二編、十三編と小刻みに増えていき、二十編へと跳ね上がったあと、五十編へと到達している。
一冊の短編集のなかに五十編とはかなり多いようにも思うけれど、おなじバンタム・ブックスからペーパーバックになっている短編集のなかには、七十五編を集めたものもある。『五十編の偉大なアメリカの短編』は、編者が序文のなかで述べているとおり、アメリカでなされた文学の推移を見渡す一冊となっている。これはぜひ読もうと思っている。最近なにか面白い本を読みましたか、と人に訊かれたとして、「五十の短編小説を読みました」と答えるのは、なかなか渋そうではないか。
by yoshio-kataoka
| 2006-12-04 11:34