
自分では完全に忘れていたけれど、ローウェル・トーマスの『ローレンスとともにアラビアで』のペーパーバックが、買ってあった。著作じたいは一九二四年のものだが、ポピュラー・ライブラリーというペーパーバック出版社の、背丈が高くなってからのポピュラー・スペシャルというシリーズのなかの一冊だ。一九六一年の版だ。六十年代のおそらく前半に買ったのだろう。まだ持っていないものは基本的にはすべて買う、という方針で買ったものを後年に点検すると、思いがけないものがあって楽しい。これは確実にそのなかのひとつだ。こんなものもあるんだよ、という自慢の種だ。第一次世界大戦のさなか、新聞記者だった著者がエルサレムでローレンスと偶然に会うところから、「アラビアのローレンス」の物語は始まっている。