ペーパーバックの数が増えていく TEXT+PHOTO by 片岡義男

35 渡るべき多くの河

35 渡るべき多くの河_b0071709_1058017.jpg 一九五五年の西部劇に『渡るべき多くの河』という作品があった。日本で公開されたのは一九五六年だったという。ヴィクター・マクラグレン。ロバート・テイラー。エリーナ・パーカー。僕は見ていないが、日本語題名の良さで記憶している。そしてその題名は、英語の原題をほぼ直訳してそうなったものなのだということを、ゴールド・メダルの一冊として出たペーパーバックで、僕は知った。ここにあるのはその一九六三年版の表紙だ。表紙もなかなかの出来ばえではないか。
 一九五五年に『アーゴシー』という雑誌に発表した短編ないしは中編を、著者のスティーヴ・フレイジーが長編へとアダプトしたものだという。スティーヴ・フレイジーは西部劇小説のペーパーバックでしばしばその名を目にしたひとりだ。あるとき古書店に大量に引きとってもらった西部劇小説のなかに、スティーヴ・フレイジーの作品もたくさんあっただろうと思う。まぎれ込んで残っていたものが何冊かあった。そのなかの一冊、『ランデヴー』も、表紙を写真に撮ってみた。この場合のランデヴーは、指定集合地、といった意味だ。この表紙もいい。絵は裏表紙までまわり込んでいる。だから表紙を左右に開いた様子も、写真に撮った。表紙の良さだけで選んだ西部劇小説を、売らずにとっておけばよかった、といまになって僕は後悔している。
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by yoshio-kataoka | 2006-09-11 11:16




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