読んでおきたい本4冊 '06.Jul
『うつうつひでお日記』吾妻ひでお/角川書店/980円(税別)
『失踪日記』の成功でベストセラー漫画家となった吾妻ひでおが、『失踪日記』発売直前までのうつうつとした半年間を描く絵日記漫画にして、日記文学の最高峰。行動範囲も狭くご飯の献立も麺類ばかりなのに、毎日がこんなにも豊かに感じられるのは、作者の競争心というか観察力というか、インプットの幅が物凄いから。舞城王太郎や西尾維新の小説にハマり、ポイズンガールバンドのネタに注目して、小倉優子にきっちり胸踊らせる。こんな人、他にいます?(吉田大助)
『’60年sロック自伝』鮎川誠/音楽出版社/1,800円(税別)
鮎川誠が日本屈指のロック・ギタリストでありながら、一方で博識なレビュアーである事実が未だ広く知られていなくて困る。彼のような、ともすれば「YEAH!」の一言で済むこの種の音の魅力を雄弁に語れる人には、もっと多くの書を上梓してもらわないとロック好きは困るのだ。伊丹由宇監修の下、リスナー体験、プレイヤーならではのコード解析や時代背景に、何より溢れんばかりの愛情を以て’60年代ロックを語った充実の内容。(内田正樹)
『下北沢』藤谷治/リトルモア/1500円(税別)
下北沢に個性派書店「フィクショネス」をオープンし書店経営のかたわら執筆活動を本格的にスタート。二〇〇三年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』で小説デビューした藤谷治が、下北沢を舞台に小説を書いた。自伝的な内容なのだろう、主人公はそのまま下北沢で書店を経営しており、そこに現れた風変わりで厄介な詩人との関係、そして主人公が恋する女性との関係を軸に、変わりゆく下北沢という街への親密なオマージュが描かれる。(猪野 辰)
『制覇するフィロソフィア』定金伸治/集英社スーパーダッシュ文庫/571円(税別)
ライトノベル界では珍しい本格歴史ファンタジーの書き手として知られる著者が、“友情・努力・勝利”に萌えをプラスしたバトル小説に挑戦。学ラン&超硬派な娘達が集う帝(みかど)塾において、喧嘩の武器は『哲』すなわち己の思想であり言葉。主人公コンビは、帝塾を支配する階級制度のてっぺんへと、知略を尽くし上り詰めていく。次巻以降、女性天皇制問題をも孕んだジェンダーSFへ移行の予感あり。JUMP好きor『魁!!男塾』好きならば必読かと。(吉田大助)
by switch-book
| 2006-07-19 00:00


