art

<   2006年 12月 ( 2 )   > この月の画像一覧

Feature of the month '06.Dec

Feature of the month \'06.Dec_b0071700_15473269.jpg

愛でるべきモノとその物語

紺泉「プレゼントの過去〜pattern works」 展@GALLERY at lammfromm(ラムフロム・ザ・コンセプトストア内)/開催中(12/28まで)
www.lammfromm.jp

 わざわざ本やCDを買わなくたって、ネット上であらゆる情報を入手できる昨今、その実体のなさへの不安感が逆に人をモノの所有へと向かわせる。とりわけ、森羅万象を愛でる日本国民ゆえ、モノに魂を感じ、感情移入する感覚は、どこまでいってもなくならないのだろう。一九七七年生まれの紺泉(こんいずみ)は、そんなモノのもつ魔術的魅力について改めて考察させるアーティストだ。雑誌のページなどから抽出した、気になる靴やコスメ、ジュエリー、家具などといった豪華なアイテムを、厚みをもたせたキャンバスにアクリル絵具や水彩で点描画のごとく細密に描きだす。たとえばハイヒールを描く場合、靴箱を模した立体的なキャンバスに煌めく装飾をひとつも逃さず描く手業は、まるで本当に新調した靴を手にしたかのような幸せ感を与えてくれる。そう、装飾とは、人の生活に一抹の華やぎと誘惑を与えてくれる美への入口なのだ。
 新作展で彼女は、今度は、綺麗なリボンとパールで彩られたプレゼントのパッケージを描いて見せた。キャンバスの枠まで着色し、本物のリボンもあしらった小さな箱は、実際には中を開けることもできない、表面だけの存在だ。けれど細部にわたって描き込まれた美しいパッケージは、プレゼントを贈り、贈られる者双方の心浮き立つ思いを喚起させる。決して開けることのできないオブジェは、モノそのものの質感を示すのではなく、愛でるべきモノとその物語を観客自身に想像させるのだ。絵画と彫刻が融合したこの作品は、特定の主題を描くという概念を一瞬で転倒させる新たなラディカルさをもっている。
 このたび、有田焼の老舗、香蘭社とのコラボレーションにより、紺は、初めてのお皿のデザインに取り組んだ。「お皿の休日」と名付けられた七つの皿には、ルージュやサングラスや野菜、スニーカーなどがポッコリと豪華に描かれている。モノを載せる用途のあるお皿に、先にモノを描いてしまうというこれまた逆転の発想。贈られる人の想像力を大いに刺激する、挑戦的でこのうえなく優美な逸品だ。展覧会には、蔓草をモチーフにした三連画も発表されている。入れ子状の思考の罠にとらえられながら、おもてなしの心を遊ぶ珠玉の展覧会だ。(宮村周子)
by switch-art | 2006-12-19 00:05

触れておきたい展覧会2本 '06.Dec

帰ってきた日本のサブ・カルチャー:ボロボロドロドロ展

触れておきたい展覧会2本 \'06.Dec_b0071700_15444440.jpg帰ってきた日本のサブ・カルチャー:ボロボロドロドロ展@ワタリウム美術館/開催中(1/28まで)月曜休館
www.watarium.co.jp

なにしろタイトルに惹かれる展覧会。ニューヨーク在住の河井美咲とテイラー・マッキメンスという二人の若手作家の心象風景には、確実に日本のカルチャーが根づいていて、アメリカ育ちのマッキメンスにとっての日本とはすなわちマンガなのだという。日本人顔負けにマンガに通じる彼は、敬愛するマンガ・アーティストを招いたドローイング・パーティも企画した。子供の落書き&工作風の「ボロボロ」した河井の作品に対し、マッキメンスは文字通りドロドロと頭の解けるオリジナル・キャラを描く。マンガという世界言語を持ち出すまでもなく、今やお馴染みとなったドローイングで自然に表現できる作家達が、こうも国境に関係なくごたまぜになっている事態が、面白い。思えば、欧米偏重型だったほんの十年前までのアートシーンからは考えられない状況で、感慨深い。(宮村周子)




「シアター・プロダクツの現場」展

触れておきたい展覧会2本 \'06.Dec_b0071700_15445390.jpg「シアター・プロダクツの現場」展@パルコ・ミュージアム/1/12〜1/29 会期中無休
www.parco-art.com

5周年を迎えたファッション・ブランド、シアター・プロダクツが、コレクションのアーカイブをはじめ、撮りおろしのファッション写真やインスタレーションを展開する。とはいえ、コレクション毎に音楽、コンテンポラリー・ダンスなどさまざまなジャンルの表現とのコラボレーションで人々を楽しませてきた彼ららしい、一筋縄ではいかない創意溢れる趣向が用意されている。たとえば、シアター・プロダクツの仕事現場をそのままステージにあげてしまう試み。つまり会場内に電話やファックスを引き、デザイナーが毎朝出社してデザインし、プレスはスタイリストのリース受付や打ち合わせをする……という、まさに「劇場型」のドキュメンタリーを敢行する模様。また、これまでの活動の記録を余すことなく収録した書籍(リトルモア刊)も、本展の開催にあわせて刊行される。(猪野 辰)
by switch-art | 2006-12-19 00:00




ページの上へ