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触れておきたい展覧会2本 '06.Aug

『ライフ』展

触れておきたい展覧会2本 \'06.Aug_b0071700_1247533.jpgライフ』展@水戸芸術館現代美術ギャラリー/7/22〜10/9(月曜休館)
http://www.arttowermito.or.jp/life/lifej.html

岡崎京子《リバーズ・エッジ》1994年/©岡崎京子/宝島社

シンプルかつ幅のあるテーマの元、現代美術のアーティストのほかに、HIV予防運動にとりくむアクティビスト、マンガ家や障害をもちながら制作活動を行う作家達が集められている。会場では各人のバックグラウンドが明示されていないので、本当にむき出しの表現と出会うという仕掛け。これまでアウトサイダー・アートとしてくくられてきた、やむにやまれず表出する障害者のアートを、人に見せることを前提とした現代アートと並列させること自体が挑戦的だが、会場をめぐると、不思議なほどに全部が馴染んで見える。そして、生々しい。齋藤裕一のテレビ番組のタイトルを羅列したドローイングも、今村花子の荒々しい抽象画も、吉永マサユキが撮る暴走族達の姿も、岡崎京子「リバーズ・エッジ」の痛々しさも、繊細で脆い人物表現の数々も、すべてが今の人間のリアリティに繋がっている。アートの根元的な価値について考えさせる展覧会。(宮村周子)




大橋仁展『ラッキーか?』

触れておきたい展覧会2本 \'06.Aug_b0071700_12472380.jpg大橋仁展『ラッキーか?』@エモン・フォトギャラリー/9/5〜10/8(日・祝定休日)
http://www.emoninc.com

写真家・大橋仁による、意外にも初、の東京における個展が開催される。『目の前のつづき』『いま』と、いずれも嫌がらせのようにブ厚い、これまで出版された2冊の写真集の、アラレもない、または根も葉もない、または神も仏もない、要するに大人げない、いわゆる「それを言っちゃあお終えよ」的な、人間が持っている「性(さが)」やら「業(ごう)」やらDNAレベルの陰と陽を、強引にでも白日のもとに引きづり出して、これでもかと気の遠くなるような長い時間をかけて凝視する写真術は、写真展という場でどんな展開を見せるのだろう、か。本人によれば、過去に撮影してきた既出の作品と、まだ世の中に出たことのない新作・未発表作品をシャッフルする予定だという。広尾の地下にある清潔感溢れるギャラリー、という設定が、はたして吉と出るか凶と出るか。これは見物。(猪野 辰)
by switch-art | 2006-08-19 00:00




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